189-参-災害対策特別委員会-6号-2015年06月19日-初版
○田中茂君
日本を元気にする会・無所属会、無所属の田中茂です。
最後の質問者となると、皆さん大体同じ質問をされているんで、重複した部分もあると思いますが、なかなか質問しづらい部分はあるんですが、若干異なる部分はあると思いますけど、その点で質問をさせていただきたいと思います。
また、通告と順番が異なるかもしれませんが、その辺はお許しいただきたいと思います。
まず、御嶽山噴火後の二〇一四年十月六日の日経新聞で、就職先の少なさなどから火山研究を志す学生は減少し、今や研究者は四十人程度しかいないとの記事がありました。
文部科学省によれば、現在、国内の大学で火山観測に携わっている教授、准教授、講師、助教、任期付研究員の数は年々減って四十七人とあります。
研究者の数は実質的には三十人程度で、学級崩壊も近いと自嘲ぎみに言われる研究者もいるようであります。
ちなみに、世界で火山数が最も多い国、アメリカが百七十四火山ありますが、研究者は約百三十人いると聞いております。
あと、火山数三位の百三十火山があるインドネシア、そこは約百二十人と。
二十三位のイタリアなんですけど、十六火山しかないんですが、約百五十人もの研究者がいると聞いております。
火山研究者が少ないのは、先ほどいろいろと話が出ていますように、国の予算が足りないのも理由だと思いますが、また、学問として成立しにくい分野でもあると。
噴火が常にあるわけでもないので、論文を書く研究ができないとも聞いております。
そこでお聞きしたいんですが、気象庁全体で今現在火山業務に従事する職員は何名いらっしゃるのか、正確な数字を教えていただきたいと思います。
○政府参考人(西出則武君)
気象庁全体で火山業務に従事する者は現在百五十六名であります。
○田中茂君
そのうち大学や大学院で火山学を専攻していた者は何名いるんでしょうか。
○政府参考人(西出則武君)
大学や大学院で火山学を専攻していた者は、そのうち二十一名であります。
○田中茂君
専門家が二十一名ということで、火山の観測データ、分析、判断は一体誰が行っているんでしょうか。
○政府参考人(西出則武君)
気象庁では、全国の百十の活火山について、札幌、仙台、東京及び福岡の四つの火山監視・情報センターで監視を行っております。
特に、監視・観測体制の充実等が必要と火山噴火予知連絡会によって選定された四十七の火山については、地震計や監視カメラ等の観測機器を整備し、大学等が整備した観測機器による観測データも提供を受け、この四つのセンターで二十四時間体制で監視を行うとともに、データの分析を行っております。
この火山監視・情報センターでは、こうした監視や分析に基づき、火山活動が変化しているかどうかを火山噴火予知連絡会の委員等の火山専門家の御意見を聞きながら判断しているところでございます。
○田中茂君
今、先ほどおっしゃった火山監視・情報センター、四か所、全国にあるわけです。
五十の観測しなくてはいけないと。
四十七なんですけど、三つ追加したということで五十になると思うんですが、これを二十四時間体制で監視し、監視データの収集を努めると。
ただ、私、おとといですか、質問させていただきましたが、浅間山、第一報が、結局は現地の方が降灰があると。
それが来て、観測上何も、その第一報じゃなく、気象庁としてはその第一報が入るまでは気付かなかったというわけであります。
それは、先ほどおっしゃった地震観測計もあるし、空振計もあるでしょう。
ただ、それでも分からなかったというわけですから、そういう中で、専門家も少ない、本当に監視ができるのかなと、大丈夫かなと不安になるわけですが。
そこで次の質問させていただくんですが、火山研究者が火山防災協議会に積極的に先ほどおっしゃっていますが参画し、科学的な知見を助言する専門家としての役割が当然これは期待されているわけであります。
各協議会に参画できる火山研究者数が必ずしも十分ではないと先ほどおっしゃっていました。
そこで、地域防災への貢献を目指している地元大学、この間も言いましたホームドクター的なそういう研究者等の積極的な参画が必要ではないかと、そう思っておりますが、その点についてもお聞かせいただきたいと同時に、火山物理と地質の両研究者も必要であると思いますが、研究者数が少ない現状では、どちらか一方の研究者の協議会参画だけでも推進していくべきではないかと思っておりますが、その点お聞かせいただけませんか。
○政府参考人(日原洋文君)
お答えいたします。
今回の改正法案におきます火山防災協議会の中には、火山の専門家を必須の要件として義務付けたところでございます。
そのため、各火山防災協議会における火山専門家に関するニーズの把握、それから地元大学を含めた大学や研究機関の研究員に関する情報収集というものを内閣府において行いまして、各火山防災協議会に必要な知見を有する専門家がきちんと参画できるよう調整を行っていきたいというふうに考えております。
また、委員御指摘のように、火山に関する専門知識としては、物理、化学、地質など様々な分野がございますので、その一分野についての専門的知見を有する方の情報も含めまして広く情報収集を行いまして、複数の火山専門家が知見を持ち寄ることにより適切な検討が行われるというようなこともございますし、場合によっては、ちょっと専門は、特に得意はこの分野だけれども、ほかのことも併せて勉強していただくようなことも含めまして、調整や情報提供を行ってまいりたいというふうに考えております。
○田中茂君
そこで、火山研究人材の確保という意味で、先ほど仁比先生もポスドクのお話がありましたが、次世代を担う研究者が少ない中で、全国に約一万人と言われているポスドク、この将来的に観測研究を担うポストドクターを人材活用すべきだと、そう考えております。
そこで、ポスドク人材が若い世代の教育に関与していくべきではないかと思いますので、そのポスドク及び若い世代の人材育成の取組についていかがしていらっしゃるのか、お聞かせください。
○政府参考人(森晃憲君)
お答え申し上げます。
御嶽山の噴火を踏まえまして、平成二十六年十一月にまとめられました科学技術・学術審議会測地学分科会の地震火山部会の報告におきましては、次代を担う若手研究者が少ない中で、将来的に観測研究を担う火山研究者の減少が懸念され、人材の育成、確保が喫緊の課題であること、そして、研究等を通じて特にポスドク人材の涵養を図るとともに、さらに彼らが、ポスドクが若い世代への教育に関与していくことで人材システムの好循環を構築していく必要があること、そして火山研究と人材育成を一体的に行うプログラムの構築を目指すことが提言されております。
この報告書を具体化するために、先ほど来答弁申し上げておりますような、省内に藤井副大臣を座長とする局課横断的な検討の場を設けて、若手を含む火山研究人材の育成のための具体的検討を進めておりまして、今後とも関係機関と協力しながら、火山研究者の確保、育成に努めてまいりたいと考えております。
○田中茂君
約一万人もいるわけですから、何らかの活用を是非していただきたいと、そう思っております。
そこで、若手研究者が世界の火山の研究を経験できるよう国際的な火山研究機関と連携していくべきだと、そう考えております。
国際的な連携など、研究者全体の育成の現状及び若手研究者に対する現状をお聞かせください。
○政府参考人(森晃憲君)
火山研究につきましては、海外の事例を研究することによりまして、火山研究のより詳細な分析や災害の解析が可能となることに加えまして、若手研究者の育成にも資することから、国際共同研究等を通じた海外との連携を一層推進することが必要であると考えております。
現在、防災科学研究所におきまして、イタリア国立地球物理火山研究所と協力協定を締結し研究及び人材交流を推進しているほか、科学技術振興機構の国際協力プログラムの枠組みの中で、インドネシアやコロンビア等と火山噴火に係る災害の軽減のための国際共同研究を行っております。
また、各大学におきましては、アメリカ等の優れた火山研究者や火山噴火が多発する国の研究者を招聘する取組を行っているところでございます。
文部科学省といたしましては、こういった我が国の研究成果を積極的に海外に普及させますとともに、海外の成果を取り込みまして、我が国における火山研究の効果的な推進を図るために火山研究の国際的な取組を一層強化し、若手研究者の人材育成にも貢献してまいりたいというふうに考えております。
○田中茂君
先ほども言いましたように、世界中を見ると研究者の数は百人以上と、それに比べたら日本の研究者というのはかなり貧弱だと、そう思っておりますので、是非とも若手研究者を育てると。
日本というのは火山、地震は必ずあるわけで、そういう点では是非ともその辺、お願いしたいと思います。
そこで、火山との共生ということで、世界の約千五百の火山のうち日本は百十の火山があるわけであります。
世界の七・三%に当たるわけでありますが、日本の陸地面積は世界の僅か〇・一%なので、いかに火山が多いかということであります。
先ほど言いましたように、日本は噴火と地震は繰り返されてきており、日本に住む以上は火山噴火と地震は避けられないわけであります。
確かに、降灰によるインフラ・農業被害対策、あと避難体制の整備は当然必要ですが、それと同時に、日本列島の成り立ちや火山の歴史などを含めた自然災害の本質、火山教育をカリキュラムの中に入れて学校でしっかりと教える必要があるのではと考えております。
警戒や警告としての教育だけではなく、この国に住む人間として、自然、とりわけ火山との共生、当然、温泉、リハビリ医療、地熱発電もあれば観光もあるわけであります。
そういうことを学ぶことも大切だと考えます。さもなければ、火山学者を目指す若者もなかなか出てこないのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
その辺お聞かせください。
○副大臣(丹羽秀樹君)
お答えさせていただきます。
我が国において、火山に関する防災の観点だけではなくて、火山に関する知識を学び、火山と人間との関わり方について考えるということはとても重要なことだというふうに考えております。
これは、諸外国とかですと、やはり自然との対立とか自然と闘っていくという観点なんですが、日本の教育の場合においては、自然との共生、委員おっしゃるように、共生という部分が非常に重要視されております。
例えば、中学校の理科では、火山活動や火山による災害などを学ぶとともに、自然の美しい景観や温泉などの恵みをどのように役立ててきたかとか、そういったことを学ばさせていただいております。
自然と人間との関わり方について考察させるような学習を指導するとともに、火山に関する教育を通じて、児童生徒が火山に関する知識だけではなくて、火山を始めとする自然から受ける恵みと地域の自然災害など様々な視点から考察し、自然と人間の関わり方について適切に判断する能力や態度を身に付けることができるように、今後とも取り組んでいきたいと考えております。
○田中茂君
この火山教育、非常に大事だと思っております。
小さい頃からそういうふうに慣れ親しんでいく、火山とは何か、地震とは何か、自分たちの歴史的背景は何か、そういう中で学んでいくことは極めて大事だと思いますので、是非ともそういうカリキュラムを入れていただきたいと、そう思っております。
そこで、先ほど仁比先生もおっしゃっていた、どうも私は仁比先生と一緒の資料を見たみたいなので質問が全部重なっていくところがあるんですが、一元的に観測調査する国の機関ということで、例えば、アメリカ、イタリア、インドネシア、フィリピンなど、地震、地殻変動、電磁気観測、火山ガス観測、地質調査の専門家が単一の国立機関に一元化されておるわけであります。
日本では、地震観測研究所には地震調査研究推進本部体制はありますが、火山観測研究所には推進本部体制がまだありません。
火山防止対策推進ワーキンググループの報告書、これを読みますと、国は、火山防災対策の立案とそれに資する監視観測・調査研究体制をより強化するため、まずは複数の関係機関同士の連携強化を図るべきであり、その上で、より一体的に火山防災を推進する体制を整備することが必要と書かれております。
そこで、先ほど仁比先生おっしゃったように、地震火山庁のような一元的に観測調査する国の機関を私もつくるべきだと、そう考えております。
若しくは、国立の火山噴火調査研究機関のような組織を今後の研究者の受皿とすべきじゃないかと、そういうふうに考えておりますが、再度、大臣の御意見をお聞かせいただけませんでしょうか。
○国務大臣(山谷えり子君)
関係機関が連携しまして、より一体的に火山防災を推進する体制を整備していくということは非常に重要でありまして、機関同士の連携強化を図っていかなければならないと思います。
また、火山専門家の数が非常に限られているという現状、次世代を担う若手研究者、その意欲、希望を持っていただくように、しっかりと体制整備していかなければならないというふうに思っております。
今後、内閣府に火山防災対策推進検討会議を設置しまして、具体的な検討を進めるということにしております。
火山庁や国立の火山噴火調査研究機関といった一元的な組織の設置などにつきまして、将来的な組織体制の見直しにつきましては、中長期的課題として検討してまいりたいと考えております。
○田中茂君
先ほども言いましたように、日本の陸地面積に対する火山数からすると、多分世界一ではないかと思うんですね。
百十もこの狭い日本であって、地震もある、火山もある。
そこで火山庁のようなものがないというか、防災庁のようなのがないというのは、これは考えられないわけです。
だから、是非ともこれは考えていただきたいと、そう思っております。
一元化することによって、やはり情報の一元化もつながってくると思います。
そういう意味では、確かに、災害防止、災害監視体制の中でも誤報、誤認のことも、なるべくなら、それも少なくなっていくと思うし、避難体制の中でも誹謗中傷、デマも、そういう意味でも情報の一元化が図られれば少なくなっていくこともあり得ると思います。
何よりも、危機管理では一番初動が大事であります。
初動体制を強化するためにも、一元化というのは必ずこれは必要になってくると思いますので、是非ともそれは検討していただきたいと、そう思います。
それを提言として、お願いとして、私の質問とさせていただきます。ありがとうございました。