189-参-災害対策特別委員会-8号-2015年09月24日-初版
○田中茂君
日本を元気にする会・無所属会、無所属の田中茂です。
まず、この場を借りて、今回の大災害でお亡くなりになられた方たちの御冥福をお祈りし、また被災者の方には心からのお見舞いを申し上げます。
最後の質問なので、大分重なっております。
その辺はお許しいただきたいのと、通告とは質問順序が若干変わりますので、その辺もお許しいただきたいと思います。
まず最初に、福島県の飯舘村、先ほど増子先生から質問がありましたが、それの除染廃棄物の流出について質問させていただきます。
いわゆるフレコンバッグでありますが、これ、流出袋数の推移を調べますと、十一日に八十二、十二日に二百四十、十三日に二百九十三、十五日に三百九十五、そして先ほどの御説明では四百三十九袋だということで、三百九十八が回収されたとのことでありましたが、望月環境大臣は、今後、豪雨が予想される場合は、袋をロープで固定したり仮置場に優先的に移動させたりするなど、再発防止策を徹底させたいとした上で、いずれも最近刈り取られた草などで、放射性物質濃度は比較的低く、周辺環境への影響はほとんどないと述べられておられます。
しかし、放射性濃度の低さとか影響のなさとかの問題ではなく、ずさんな管理体制が問題ではないかと、そう思っております。
そこで、この除染された袋の管理責任は一体どこなのか。先ほど増子先生もお聞きになりましたが、何か、私、ちょっとその責任者がどこなのかはっきりしていなかったので、ちょっとお聞かせいただけませんでしょうか。
○政府参考人(高橋康夫君)
お答えいたします。
今回、河川に流出しました土のう袋でございますけれども、これは飯舘村で環境省が直轄で実施をしている除染作業によって生じたものでございますので、その最終的な管理責任は環境省が負っているということでございます。
○田中茂君
まあ環境省ということでしょうが、東日本大震災から今年四年半過ぎて、今回の除染廃棄物の流出もあり、あと、先ほども東電の漏出のそのような報道に接すると、管理する側が放射性物質の怖さに麻痺しているのではないか、危機管理意識が薄くなってきているのではないかと思わざるを得ないわけであります。
それぞれ、今後の管理について、流れ出た汚染物質を含む対応をいかにするのか、お聞かせいただきたいと思います。
○政府参考人(高橋康夫君)
今回の除染工事の実施に当たりましては、当然、放射性汚染を扱いますので、電離放射線障害防止規則でございますとか除染ガイドライン、あるいは除染等工事共通仕様書等、定めにのっとりまして、作業員への安全教育あるいは現場の安全管理を行っておりました。
しかしながら、今回の事態を顧みますと、現場の危機管理の不徹底あるいは情報伝達の遅れなど、反省材料も多々ある、改善すべき点があったと認識してございます。
このため、まず工事現場では、浸水のおそれがあるエリアに一時置きをする土のう袋につきましては優先的に仮置場等に運び出す、あるいは豪雨や出水が予想される場合には事前に高台などに移したりロープで固定するなどといった措置を徹底してまいりたいと思っております。
また、数量の把握につきましても、下請の工事事業者から元請に対して、毎日袋詰めをした数等が報告され、集計されるようにいたします。
あわせて、災害時の情報を迅速かつ確実に伝達するための連絡体制も強化をしたいと考えております。
これらの再発防止策につきましては、これを徹底するため、先週十七日に全ての除染工事受注者に対して指示を発しているところでございます。
○田中茂君
今回の災害、特別警報が出るぐらいの災害であったわけですから、誰か一人でもそういうロープで固定するとか考えてもよかったのではないかと、私、そう思っております。
それだけの危機意識を持って是非とも対応していただきたいと、そう思っております。
次に、阿蘇山の噴火について質問させていただきます。
近年、阿蘇山では中岳の山頂にある第一火口周辺で毎年のように噴火を繰り返し、噴火活動が一年余りにわたって続くこともあるわけであります。
そこで、本年八月四日から噴火速報の運用が開始され、今回初めて気象庁は噴火速報を発表しましたが、噴火、これ七分後ですかね、五分後以内ということも何か発表をされたみたいですけど、目標は五分以内なので、初めてとしては上出来だったのではと、そう思っております。
これは、ラジオやスマートフォンの専用アプリ、あと防災行政無線などを伝達手段としていますが、このような形で定着していけば登山者など聞く人が多くなると思うので、是非スピードと精度を上げていただきたいと、そう思っております。
そこで、今後の修正点などを含めてお聞かせいただきたいと思います。
○政府参考人(西出則武君)
噴火速報は、気象庁が噴火を確認した後、噴火した事実を直ちに発表する情報であります。
阿蘇山のようにふだんから噴火している火山につきましては、ふだんの規模を上回る噴火が発生した場合に発表することとしてございます。
気象庁は、今回の噴火の発生を九時四十三分に監視カメラで確認いたしました。
その後、噴火の状況を厳重に監視し続けていたところ、九時四十七分に、噴煙の高さや広がりが大きくなったこと、さらに地震計等でも大きな振幅を観測したこと、これらのことから、今回の噴火がこれまでより規模の大きな噴火であると判断いたしまして、九時五十分に噴火速報を発表いたしました。
気象庁では、今後も引き続き噴火の状況の厳重な監視、適切な判断の下に迅速な噴火速報の発表を行ってまいります。
また、登山者や住民等に噴火速報を確実に伝達するため、地元自治体等と連携して伝達手段の多重化に取り組んでまいります。
○田中茂君
京都大学の火山研究センターの大倉教授ですか、阿蘇山は火山性微動が頻発し、昨年八月に噴火警戒レベルを二に引き上げ、同十一月に二十一年ぶりに噴火した、いつ噴火が起きてもおかしくない状況だったと述べられております。
教授によれば、ガス噴出量も口永良部島や桜島よりも多く、噴火直前の十四日午前九時二十分頃には観測所の振動を示す数値が急に倍になったとおっしゃっておられます。
噴火後、振動の数値は戻ったが、まだ予断は許さない状況だとも述べられておられます。
紅葉シーズンを迎え、行楽客も増えると思います。
この点も考慮して警戒体制には万全を期していただきたいと、そう思っております。
そこで、次に質問させていただくのは、口永良部島、桜島、その次、阿蘇山とくれば、二〇一一年に大爆発をした新燃岳など霧島連山が気になるわけであります。
霧島連山の火山活動はその後どのようになっているのか、説明をお願いいたします。
○政府参考人(西出則武君)
霧島連山の一つであります新燃岳は、平成二十三年一月二十六日にマグマ噴火が発生し、気象庁は同日、噴火警戒レベルを三に引き上げ、警戒が必要な範囲を火口から半径二キロの範囲といたしました。
その後、同年九月七日を最後に噴火はなく、GNSSの観測により、新燃岳の北西地下深くのマグマだまりへの深部からのマグマの供給は停止し、新燃岳浅部の活動も低下し、火山活動は落ち着いた状態となったことから、平成二十五年十月二十二日に噴火警戒レベルを二に引き下げ、現在に至っております。
また、えびの高原の硫黄山周辺では、平成二十五年十二月以降火山活動が活発化したため、平成二十六年十月二十四日に噴火警戒レベル二に相当する火口周辺警報を発表いたしましたが、その後火山活動が低下したため、平成二十七年五月一日に噴火警戒レベル一に相当する噴火予報に引き下げました。
それ以降、一時的な火山性地震の増加等はありましたが、現在は落ち着いた状態となっております。
このほか、御鉢では、先週十五日から御鉢火口直下を震源とする火山性地震が増加したため、十六日に臨時の火山の状況に関する解説情報を発表いたしました。
その後、活動が低下したため、その旨を十八日に臨時の解説情報で発表しました。
現在は、噴火警戒レベル一、活火山であることに留意という状態であります。
なお、九州地方では、霧島連山のほか、五月二十九日に口永良部島、八月十五日に桜島、九月十四日に阿蘇山に噴火警報を発表しておりますが、それぞれの火山のマグマだまりは独立しております。
気象庁では、引き続き個々の火山の特徴に応じて火山活動をしっかりと監視していくとともに、適時適切な情報発表に努めてまいります。
○田中茂君
ありがとうございます。
川内原発がありますので、その辺、皆さんも不安があると思いますので、その辺は是非ともよく警戒をしておいていただきたいと、そう思っております。
次に、今回の宮城、茨城、栃木の大雨災害についてでありますが、今回の一連の状況を見てみますと、要は連絡の遅さとか不徹底、あと誤った誘導、誤報などが指摘されているわけであります。
先ほども皆さんおっしゃっているように、情報というのがいかに大事か、この情報によって、間違った情報によって皆さん間違った対応をしていくわけでありますので、その情報をいかに的確に正確な情報を得るかというのが最も大事な点だと、そう思っております。
そういう中で、今回は県と市で情報が共有できないような状況であったと思っております。
それで一番困るのは住民であるわけです。
これに国まで加わると、より情報が錯綜する可能性も出てきます。
そこで、災害時の情報の一元化についてどのように考えておられるのか、お聞かせください。
○政府参考人(加藤久喜君)
お答えいたします。
災害応急対策に混乱をもたらさないように、例えば人的被害の情報等、一元化をしていくのは非常に重要なことだというふうに考えております。
例えば、行方不明の例で申し上げますと、昨年の広島の土砂災害あるいは御嶽山の噴火災害を踏まえまして、本年七月の中央防災会議において防災基本計画を改正して、人的被害情報を都道府県が一元的に集約、調整して、そこから情報を出すというような形にしておりまして、今回の対応につきましても、そのような中で情報の把握がされて、連絡が付かない方の人数を公表したというふうな形を取っておりまして、県の対策本部のところで一元化をして調整をするという形で整理をしておりまして、今回もその整理に沿った対応がなされているというふうに思います。
このようなこともございますけれども、いずれにしましても、今回の災害、いろいろ課題もございまして、災害対応の在り方について検証はしっかりと進めてまいりたいというふうに思います。
○田中茂君
是非とも検証は徹底的にやっていただきたいと思いますが、その一つの中で、特別警報、これは確実に住民へ伝えられるべきであると、そう思っておりますが、現実には伝えらず、避難勧告や避難指示も出されていない地区があったと聞いております。
常総市は、若宮戸地区の越水などの対応で手いっぱいであったと、そのようにおっしゃっていますが、確かに緊急事態で時間的制約や対応人員のことなど、そういう状況も考えられますが、各自治体に任せず、避難指示を住民に出したかどうかを国が自動的にチェックできるようなシステムの構築など、特別警報のピラミッド型情報伝達方式自体を考え直す必要があるのではと考えます。
そこで、特別警報が確実に住民に伝えられる、これは特別警報だけじゃなく注意報や警報もそうなんですが、注意報や警報がなければ結局は特別警報も意味を成さないわけなんで、その辺を含めてお聞かせいただけませんでしょうか。
○政府参考人(西出則武君)
気象庁が発表する警報等の防災気象情報は、気象庁からテレビ等の報道機関や気象庁ホームページを通じて広く住民に提供されると同時に、気象庁から都道府県等を通じて市町村に伝えられます。
そして、市町村からは防災行政無線やメール等の手段により住民への周知の措置がとられると承知しております。
このように、複数の経路を活用することで情報伝達の確実性を高めているところです。
今回の茨城県への大雨特別警報発表に際しては、九月十日七時四十五分の特別警報発表の約三時間前であります四時二十五分に、地元の水戸地方気象台から常総市に直接電話で記録的な大雨となっているという危機感をお伝えし、自治体の早い段階からの防災対応と、自治体を通じた住民への危機感の周知も図ったところでございます。
また、気象庁では、気象庁本庁と地元の水戸地方気象台でそれぞれ記者会見を開催し、報道機関を通じて住民に直接情報が届くよう努めたところであります。
このように、特別警報について確実な周知を図っているところでございますけれども、一方で、特別警報が発表された段階では既に命を守る緊急の行動が求められる事態となっております。
このため、気象庁としては、早め早めの大雨に対する警戒、防災対応行動を取っていただくよう、気象情報、注意報、警報等の防災気象情報を段階的に発表しております。
気象庁としては、特別警報を含め、防災気象情報が住民に確実に伝わるよう、今後も引き続き関係機関と連携協力し、防災気象情報のより確実な住民への伝達に努めてまいります。
○田中茂君
今おっしゃったように、実は静岡大学の防災総合センターの牛山素行教授が、特別警報は既に災害が起きたか起きつつあるという防災気象情報で、そこまで何もしていなければ手遅れになる情報だと考えると、まさにそうおっしゃっているわけで、何が一番大事かというと、やはり警報であり注意報を、いかに正確にそれを住民に伝達できるか、そこに懸かっていると思っておりますので、その辺を含めて、是非ともその伝達方式、住民への伝達方式を徹底的に検査して、それが伝わるようなシステムを是非とも構築していただきたいと、そう思っております。
次に、その常総市はしっかりとしたハザードマップを作り、全戸の市民に配布していたとも聞いております。
しかし、どこの自治体でもそうなんですが、それ以上のことをやはりやるというのは余りしないと、そう思っております。
自治体は住民にどのように活動してもらうかに知恵を絞るべきなのに、それをしていなかったということであります。
それどころか、常総市の場合は自らもハザードマップに反した行動を取っております。
これを反省点として、国や各自治体もしっかりと学んでほしいと、そう思っておりますが、そこで、先ほど大臣も説明をされましたが、政府は、これまでの大災害の経験から、国や地方公共団体、指定公共機関の職員向けの防災スペシャリスト養成研修を毎年実施していると、そのように御説明されました。
一テーマ五十人と定員が限られているようですが、常総市の対応を見ると、もっとこの事業の活用ができないかと、そう思うのですが、いかがでしょうか。
○政府参考人(加藤久喜君)
お答えいたします。
迅速かつ的確な災害対応を実施するのは、過去の事例あるいは災害発生上の特性を踏まえた防災活動を行う上での前提の知識あるいは対処方法を身に付けた人材の育成が不可欠だというふうに思っております。
今先生から御指摘のございました、内閣府では二十五年度より、有明の丘の施設を活用した研修で、昨年度まで千七十人の方に受講いただいておりますけれども、それ以外にもOJTの研修ですとかあるいは全国各地で防災研修も進めておるところでございますし、大臣から御発言いただきました首長のトップセミナーというのもしております。
そのほか、この研修の充実を図るために検討会を開催をいたしておりまして、カリキュラムの見直しですとか、あるいはe―ラーニングとかそういうことも使えないかとか、いろんなことを検討させていただいております。
公共団体が迅速かつ的確な災害対応を行えるように、今後とも研修内容の充実あるいは機会の確保を図って、首長及び防災担当職員の防災に関する資質の向上に努めてまいりたいというふうに考えております。
○田中茂君
是非とも、研修センターを通じて、国、県、あと市町村、それが三位一体となって情報網を明確に、正確に伝達できるような体制を是非ともつくっていただきたいと、そう思っております。
最後に質問させていただきますが、気候変動は近年際立ってきておるわけであります。
偏西風によるものだとかエルニーニョ現象によるものだとか言われておりますが、とにかくこれまでの常識が通用しない気候となっておるわけであります。
雨のみではなく、かつてはほとんどなかった現象の竜巻の被害も多くなっております。
豪雪の被害も毎年のようにあるわけであります。
豪雨と同様、豪雪が通常の状態になりつつあるわけであります。
今回も五十年ぶりの大雨だと言われましたが、今後は、気候変動の要素を考えれば毎年起こってもおかしくはないわけであります。
予算や時間との兼ね合いなどもありますが、今後の自然災害対策は、今回の災害をより分析し、気象学や河川工学の新たな研究などを取り入れた総合的な対策づくりを必要と考えますが、この点、大臣に御意見をお聞かせください。
○国務大臣(山谷えり子君)
近年、極端な雨の降り方が顕在化していますが、今後もこうした大雨による降水量が増加し、全国の河川において施設規模を上回る洪水の発生頻度が大幅に増加すると見られております。
このため、堤防等の着実な整備に加え、洪水が発生した場合にも、氾濫水を迅速に排除するための排水門の整備、情報伝達や防災訓練の充実等、ハード整備とソフト対策、適切に組み合わせて、常に最新の科学的知見を取り入れつつ、政府一丸となって被害の最小化を図ってまいりたいと考えております。
○田中茂君
時間が来ましたのでこれで終わりにしますが、危機管理は初動が最も大事だと思っておりますので、その点、是非ともそういう意識を持ってやっていただきたいと、そう思っております。
ありがとうございました。