比例代表並立制の問題
レポート 2021/11/09前回、『日本政治の変化~選挙制度』のタイトルで、「小選挙区比例代表並立制」と「政党助成金の導入」について書きました。
その中で投票率の低下に触れましたが、安倍政権下の衆議院議員選挙の投票率は2014年の52.66%、2017年の53.68%と、戦後実施された同選挙中の最低と下から2番目でした。そして今回の総選挙の投票率は55.93%で最低の下から3番目、これで、ここ3回の投票率がすべて50%台で、最低の1、2、3位となりました。よほどの社会変化がない限り、この数字が上ることはないでしょう。ちなみに戦後、中選挙区制による選挙は18回行われましたが、平均投票率は71.91%(1946年の大選挙区制による選挙を入れると投票率の平均は72.23%。中選挙区制は大選挙区制に区分されます)。
そのすべてを比例代表制のせいだとはいいませんが、今回も比例で復活した政治家の名を見ると、何のための選挙だと思った人が多かったと思います。これでは投票率が上らなくて当然です。
昨年、自民党は衆議院選挙小選挙区で敗れて比例代表「復活当選」が2回以上続く議員については、原則として、次の選挙では比例代表への重複立候補を認めないと決めました。しかし、これも果たして厳格に適用されるかどうかはわかりません。(2020年11月現在は対象者は25人)
小選挙区制を生かすにしても、比例代表への重複立候補が認められる現行制度だけでも変えないと、選挙の意味を失います。小選挙区制が日本人に馴染まないと考えて、比例で救うことを考えたのでしょうが、世の中の変化に制度がついていけていない典型例かもしれません。選挙民の意思を反映させ、党としての姿勢を明確にするためにも、制度の見直しやルールの徹底を図るべきだと考えます。