元参議院議員 田中しげる

しげるレポート | 田中しげるの活動報告ブログ

オミクロンで始まった新年
レポート 2022/01/16

 寒中お見舞い申し上げます。

正月三が日が終わると同時に、新型コロナウイルス・オミクロンの感染者数が全国的に急上昇し始め、今日では異常ともいえる状態となっています。東京ではすでに感染者の9割を占め、この株の特徴として感染力が強い反面、重症化リスクは少ないといわれています。しかし今の状況で感染が広がるなら、東京の患者が1万人を超えるのも時間の問題でしょう。そうなると心配なのは患者(特に高齢者)の受け入れ態勢となります。政府は3回目のワクチン接種を進めていますが、患者受け入れ態勢の再構築を行わないと、自宅待機患者の急増による医療的困難に陥る恐れがあります。

今回「まんえん防止等重点措置」(1月9日~31日)が沖縄、山口、広島の3県に発令されました。ご存知のように沖縄と山口には米軍の沖縄基地、岩国基地があります。また広島市は岩国に近く、米軍関係者がよく訪れることでも知られています。この3県で患者数が急増しています。
沖縄、岩国の米軍基地ではクラスターが発生しており、沖縄基地内の陽性者数は1月14日現在7124人(内3037人が隔離解除)、岩国基地では1070人を数えています(1月12日現在)。政府は急遽1月7日に、日米両政府の外務・防衛担当閣僚会議(2プラス2)をオンライン形式で行い、米兵の外出制限や感染症拡大防止の強化などを求めました。これに対し、米国側は理解を示し管理の改善を約束しましたが、日本人への感染が広がる前に米軍とも話し合うべきでした。
米軍関係者の入国にはパスポートが不要で、日本側の検疫義務なども及びません。つまり特別扱いなのです。また空路や海路で直接基地に入ることも可能であり、今もって不平等な日米地位協定があるにせよ、日本側の危機管理意識が極めて低かったといわざるを得ないでしょう。今後は、「水漏対策」と言われない様に徹底した「水際対策」の実行に期待してます。

 中曽根康弘先生の危機管理に関しては、このコラムでも何度も書いていますが、改めて紹介します。「危機管理の継続である戦争体験によって、自然にある程度備わった部分もあったが、大臣や総理に就任してからは体系的に、また行政的に研究し、対応を考えた」。そして具体的な危機管理については「危機にあたっては初動の早さが特に大切。もう一つ大事なのは発想の柔軟性を持つこと。危機管理にはあらゆるケースが出てくるわけだから、その場その場で最も適切な判断を下すという発想の柔軟性が必要だ」。
 オミクロンによる患者が急増する中、岸田文雄首相がどのように乗り切るのか。国民の期待に応える危機管理能力を発揮していただきたく思います。同時に、各国と協力して新型コロナウイルスと変異の研究に力を注いでいただきたいと思います。放っておけば今後も新たな変異株が現われる可能性があり、そのたびに人類の生命や社会生活が脅かされることになりかねません。

 今年は世界的に選挙の年です。日本では参議院議員選挙が7月に行われます。岸田政権に対する審判が下されるわけですが、オミクロンに対する危機管理の成否次第で、結果は異なることでしょう。
 韓国では3月に大統領選挙が行われ、続いて4月にはフランスの大統領選挙、そして11月には米国の中間選挙が行われます。米国では相次ぐ失政から民主党のバイデン大統領の支持率が落ち、トランプ前大統領の影響下にある共和党の優勢が伝えられています。それ故、今後のバイデン政権の世界戦略にも変化が生じる可能性があり、岸田外交も正念場を迎えるでしょう。

 今年の干支は「壬寅(みずのえとら)」で、地上に芽が出る準備の時を意味します。従って今年は、明るい未来に向けて準備を整える年となりますが、その様な年になることを期待しています。

日本に生まれ育ち、一生を過ごしたいと言える「誇りのもてる国」
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