9月27日、新しい自由民主党総裁が決まります。
21世紀に入りすでに24年、4半世紀になろうとしています。この間に10人の総理大臣が変わりましたが、いまだに21世紀に相応しい日本の国家像も見えず、従って国家戦略も定まりません。
今回の自民党総裁選挙も、「憲法」をどのようにするかという具体的な骨太の議論が明確ではありませんでした。
憲法を改正するとは、政治、経済、外交、教育、福祉医療、安全保障、人権や地方自治等を新たに描くことになります。
改正の過程では、政治力の源泉や透明性と緊張感を伴う政治制度、科学技術の発展に伴う国家と社会との関係、緊張とバランスある立法・行政・司法の三権、国家内の構造戦略、国家の対外戦略等々も見直されていきます。
すなわち憲法を基軸に、天皇制のあり方や、政治、経済、財政、社会福祉医療があり、伝統と文化を背景に生活は営まれ、その憲法の枠組みに従って外交、安全保障政策は展開されるのです。
日本で初めて制定された大日本帝国憲法は明治天皇が国民に与えた欽定憲法であり、現行の日本国憲法はマッカーサー元帥の超憲法的な力が働いてできた憲法といえます。今度は、日本国民が自分たちの手で、自分たちの考えで憲法を変えるべきです。国民が持っている最高権力とは、自国の憲法を改正する力です。国民が持つ究極の権力とは、デュベルジェ(フランスの憲法学者)が言う「憲法制定権力」なのです。
中曽根康弘先生は憲法改正について、「二十一世紀日本の国家戦略」(PHP研究所・2000年出版)の中で、次のように述べられています。
「広く憲法を検討するという行為は、現代の文明病を治す挑戦という歴史的意味があります。大事な点は、日本の自己主張を基本にすえて、国民参加の文字どおり主権在民の憲法にしなければいけないことです。ですから、政党は国民参加を手助けする一つの手段であって、政党はいわば産婆役にすぎない。学会やジャーナリズム、経済団体や地方自治体をはじめとした国民の大多数の意見を調整して、日本立国以来、はじめて国民自らがつくったという形の憲法にしなければならないと思っています。」
次の時代を担う若い世代に夢と希望を持たせ、世界で例のない洗練された日本の伝統文化を継承発展させる歴史観、更には豊かな国際性と新時代のダイナモとなる国家観を持つ新総裁の誕生に期待しています。