渡邉恒雄主筆
レポート 2024/12/21今月19日の朝、渡邉恒雄・読売新聞グループ本社代表取締役主筆が死去されました。98歳でした。最後まで生涯記者としての主筆の肩書を持ち続けられました。
渡邉恒雄主筆と中曽根康弘先生は、お互いに心から信頼しあう生涯をとおしての畏友でした。
そのような関係もあり、読売新聞本社の主筆の部屋へはよく私も訪ねていました。部屋には本が山のように置いてあり、中曽根も凄まじい勉強家でしたが主筆も負けず劣らず大変な読書家であり勉強家でした。主筆の部屋の本の多さに驚いていたら「自分とか中曽根さんは、旧制高校の教養主義で育った世代だから何かと本を読むんだよ」と言われたことがあります。
主筆からは国際情勢から国内の政治動向、政治家の人物月旦や、中曽根先生との歴史から中曽根世界平和研究所に至るまで様々な話をお聞きしました。
参議院議員に繰り上げ当選した際にも、主筆に挨拶に行きました。主筆は大変喜んでくださり「田中君、お祝いにこれを君にあげよう」と言いながら、机に置いてあった札束を渡されようとしました。私が躊躇しつつ、よく見るとただの印刷された偽札でした。主筆は「私にはお金がないからね、気持ちだけあげるよ」と子どものように笑っていましたが、ユーモアと茶目っ気ある方でした。
中曽根先生のお通夜の時、主筆は「田中君、悲しい、悲しいよ。こんなに悲しいことはない」と涙ぐんで仰り、中曽根先生に最後のお別れをされていました。
メディアでは強面と言われ、球界の独裁者と呼ばれていましたが、私が接した主筆は温和なチャーミングな人でした。
心よりお悔やみ申し上げます。
渡邉恒雄主筆と握手
ジェラルド・カーティス教授、渡邉恒雄主筆と
中曽根先生を囲んで
白寿を祝う会の演壇で挨拶する中曽根先生
中曽根先生と渡邉恒雄主筆