平成26年11月19日、みんなの党は両院議員総会を開き解党することを賛成多数で決定しました。党所属国会議員20名のうち進行役の1名を除き、13名が解党に賛成、6名が反対でした。なぜこのような結果になったのかご報告する前に、みんなの党を支持してくださった有権者の皆様、同志である地方議員、党員の皆様に心よりお詫び申し上げます。
9月に開かれた両院議員総会では、浅尾代表と渡辺前代表との路線の違いに関して、駆けつけられた地方議員の皆様の前で立党の精神に戻り、第三極として活動を続けていくことが再確認されました。つまり、保守政党としての立場で、「脱官僚」「地域主権」「生活重視」などの大改革を促進していくというものです。
各種報道でご存知のように、その後も民主党との選挙協力を進める浅尾代表と執行部、与党との関係を重視する渡辺前代表との路線の違いによる対立が日を追ってエスカレートしていきました。議員たちはその成り行きを、ただ指をくわえて眺めていたわけではありません。分裂を防ごう、どうにかして「みんなの党」を守ろうという思いで奔走してきました。しかし、解散・選挙という現実の大波を前にして、民主党に舵を切った現代表と、自民党に固執する前代表との間で、最終的に議員たちの思いをひとつにすることができませんでした。
当然ながら分党という選択肢がないわけではありませんでした。しかしそれにも、では党首を誰にするのかなど論争を招く厄介な問題がいくつかありました。とりわけ、分党となれば政党助成金の問題が絡んできます。分党した時点で、本来のみんなの党とは別の党になるのに、「みんなの党」として国民の税金である政党助成金をいただくわけにはいきません。多くの議員が分党を選択するなら解党を選択して、「みんなの党」としていただいた助成金は国庫に返納すべきだと考えたのです。
個人的には今回の衆議院の解散にはまったく大儀がなく、国民の支持を得られるものとは思っておりません。前代表の資金スキャンダル以降、世論調査の支持率が0%であっても、保守の受け皿としての「みんなの党」にはチャンスがあると見ておりました。しかし残念ながらそのスタート台に立つことさえもかなわなくなりました。
すべてのことには原因があるから結果があります。原因についてはさておき、結果である解党については、議員のひとりひとりが今後も背負っていかなければなりません。何よりも解党は支持者の皆様や地方議員、党員の皆様に対する背信行為であり、許されものではありません。なかでも来春に選挙を迎える地方議員の皆様には、どのようにお詫びをしたらいいのかわかりません。ただ、党所属の国会議員全員の本当に断腸の思いの、苦渋の判断だったのです。しかし、これも言い訳に過ぎないことを充分わかっております。その上でただただ、お許しを願うばかりです。
「人生似行客 両足無停歩 日々進前程 前程幾多路」
(人生は旅行く人に似て 両足は歩みを止めることがない 日ごとに道を急いでいるが 行く手はなおどれほどの道のりか)
これは唐時代の楊衡という詩人の「送春」という詩の一節です。私、個人についていえば、海図のない航海で新たな地平を目指すためにも、暫くは無所属の保守政治家として、立候補時に掲げた“日本に生まれ育ち、一生を過ごしたいと言える”「誇りのもてる国」造りに向けて、愚直かつひたすら自らの政治活動にまい進するのみだと、さしあたって考えております。
参議院議員 田中 茂