○田中茂君
みんなの党の田中茂です。
外交防衛委員会、私にとりましても初めての質問でありますが、今後ともよろしくお願いいたします。
まず第一に質問させていただきたいのは、先ほど各委員からも何度か質問ありましたが、朴大統領の名誉を毀損したとして産経新聞の前ソウル支局長を情報通信網法違反の罪で在宅起訴したことに関する今後の外務省の取扱いについて質問させていただきます。
この件は、韓国紙も報道するように異例の起訴であります。民主主義国家が共有する価値観を無視した暴挙でもあります。韓国政府及び検察当局の対応に世界から批判が集まっておりますが、安倍総理は今国会での所信表明の中で地球儀を俯瞰する外交をうたっておられ、その中に、我が国は、米国を始め、自由や民主主義、人権、法の支配といった基本的価値観を共有する国々と手を携えながら、世界の平和と安定にこれまで以上に貢献してまいりますと言われています。
これでは韓国とは手を携えられないということにもなりかねないでしょう。
先ほど佐藤委員からも、朝鮮半島有事の際、日米間の協力は絶対的に必要であると。
こういうことを考えると、実際の対応としては多くの課題があり非常に難しいものと思慮されます。
例えば、今行われておるASEM、APECで平成26年10月16日 外交防衛の韓国との首脳会談はいかになるのか、そこでいかに働きかけていくのか等々も含めて、外務省と
しての今後の対応についてお聞かせいただけませんでしょうか。
○国務大臣(岸田文雄君)
まず、御指摘の産経新聞前ソウル支局長の起訴につきましては、これまでも我が国の懸念を韓国側に伝え、そして慎重な対応を求めてきましたが、にもかかわらず起訴に至ったということ、このことにつきましては改めて深く憂慮しておりますし、こうした我が国の考え方はしっかり韓国側に伝えさせていただいております。
そして、報道の自由あるいは表現の自由、さらには日韓関係にも関わる問題であり、我が国としては引き続き注視し、そして韓国側に適切な対応を求めていかなければならないわけですが、その日韓の間の首脳会談等、この対話ということで申し上げますならば、日本と韓国の間においては、今回の案件のみならず、歴史認識ですとかあるいは領土の問題ですとか、こうした難しい問題があります。
こうした難しい問題があるからこそ、これ条件を付けずに高い政治のレベルの対話を行うことの重要性があると考えておりますし、このことはこれからも変わらないと思っています。
是非、こうした難しい問題がある中で両国の関係をしっかり安定させること、これは両国の国民のみならず地域や国際社会にとっても利益であるという考え方に基づいて、冷静な議論はしっかりと行っていかなければならないのではないかと思っています。
よって、対話のドアはオープンであるという我々のこの姿勢はこれからも変わらないと思っています。
難しい問題があるからこそ、APEC等この秋の様々な国際会議の場等を通じまして、この首脳会談を含めて意思疎通を図るべく働きかけはしていかなければいけない、このように考えます。
○田中茂君
今大臣のお答えのように、冷静に議論をしていくというのは極めて大事だと思っております。
ただ、この件について、この記事はそもそも朝鮮日報のコラムを引用しただけで、先ほど北村委員がおっしゃっていたように、記者の主観は全く入っていないわけですね。
そこで、日本人の読者に向けて日本のウエブサイトに日本語で掲載したものであり、ある意味で日本の読者に対して知る権利を奪うことにもなると、私そう思っておるんです。
これは日本の報道システムへの干渉にもつながると考えています。
この意味においては、国家対国家ではないので日本の主権を侵害しているとは言い過ぎですけど、日本国民の権利への干渉はそれに準ずるような行為だと、極めて重大な問題であると私は思っております。
安倍総理は、主権や国益が侵害されたときにはしっかりと考え方を述べていく外交に変えていく、そのため戦略的な体制を取っていくとの決意を示されていますが、この場合は国益の侵害に該当すると考えますが、外務省の御見解をお聞かせください。
○国務大臣(岸田文雄君)
まず、委員の御指摘等も含め、この案件を見る際に、やはり報道の自由あるいは表現の自由、そして日韓関係、こうした様々な観点から、この案件につきましては極めて遺憾であり、そして深く憂慮しているところであります。
そして、この点は我が国のみならず様々な関係国あるいは関係団体からも懸念が示されています。
米国、あるいはソウル外信記者クラブ、あるいは国境なき記者団、こうしたところからも声明が発せられ、憂慮や、さらには非難、こういったものも示されているところであります。
こうした今回の案件に対する見方もしっかりと念頭に韓国政府には適切な対応を求めていかなければならないと考えています。
具体的な対応についてあらかじめ申し上げることは逆にマイナスの影響が生じる可能性もありますので、それは控えさせていただきたいと思いますが、今申し上げましたような考え方に基づいてしっかり対応していきたいと考えています。
○田中茂君
大臣、ありがとうございます。
ただ、もう一点、私懸念しているのは、市民団体による告発を検察がこのような対応をしたことにより、この事件は言論の自由の論争や韓日関係への影響など、大統領府が意図せざる方向に広がっているとも考えられますが、ここで、日本政府として、韓国政府と検察の過剰反応に対し、各国からもより一層批判の声を上げてもらうのも一つの方法だと思っております。
そういう意味では、仮に韓国が国際批判などを一切無視するとしても、外務省としてもっと国際的に言論機関あとは国際機関に働きかけを行うべきではと思っておりますが、それについてはいかがでしょうか。
○国務大臣(岸田文雄君)
今回の案件につきましては、例えば、米国の国務省報道官による会見におきましても、韓国における法律に係る我々の懸念について過去に説明をしてきたところである等、この韓国の状況について様々な指摘があるところであります。
こうしたことも含めて、韓国にはしっかりと適切な対応を求めていかなければならないと考えています。
そして、国際機関に対する働きかけということですが、今回のこうした具体的な案件について国際機関において何か働きかける、活動する、あるいは対応する、何かそういう場があるかどうか、これについてはいま一つ確認した上で適切な対応を考えていきたいと考えます。
○田中茂君
私がなぜこのような質問をしたかといいますと、欧州にとっては遠い東の果ての小さないさかいにすぎないかもしれないと。
そう思うと、報道の自由とか言論の自由、人権無視、民主主義の否定を前面に押し出していけばもっと反応してくれるのではないかと考えて、この質問をさせていただいたわけです。
是非ともこの面でも進めていただければと、そう思っております。
あと、そもそもとして、先ほど大臣もちょっとお話しされましたが、このような状況に陥っているのは結局は日韓の両国の首脳会談が今もって行われていないということも一因だと、私そのように思っております。
韓国の日本批判は複雑な要因が交錯しているのも分かっておりますが、中国による日本批判は自国の安全保障利益に従ったものであり、また日本を批判しておいた方が自国の対日交渉能力を強める、そういうこともあると考えられます。
したがって、中国との関係が直ちに改善されるとは私も思っておりません。
しかし、今言いましたように、隣国の中国、韓国との首脳会談を政権発足以来一度も開くことができない状況は異常であります、これは。その原因は、私自身これを考えるに当たって、安倍総理の国益より理念重視の方針を取ったことも一因だと私は思っております。
昨年十二月二十六日の靖国参拝、私自身、参拝には反対ではありませんが、あの時期にあのような参拝が問題になることは十分に予想されたことであり、相手が最も嫌うと同時に困ることをして、一方では常に対話の門は開かれていると繰り返されておられます。
この言い方自体が相手に対して一層の不快感を与えているのではと思うわけであります。
怒っている相手に対し常に対話の門を開かれると言ったら更に仲は悪化するだけだと思っております。
まして、相手がメンツにこだわる相手ならなおさらのことだと思います。
中国の程大使が二〇一四年三月四日に新華社のインタビューに対して、ドアは開かれていると言いながら、あの表情は何だと、拳を振りかざしながら口では対話すると言っている、あり得るかと述べておられます。
今日の新聞でも、APEC、なるべく首脳会談がやるようにと期待すると、そのように何か程大使はおっしゃったようですが、是非とも、隣の中国、韓国の首脳との直接パイプ、これを持つように、日本の国益がどれだけ損なわれ、今また損なわれようとしております。
国益を重視し、あらゆる努力を惜しまずに対話の機会を是非ともつくっていただきたいと思います。
私自身、集団的自衛権の行使は当然だと思っております。それに伴う抑止力も大事であります。
しかし、隣国との首脳同士が何度も何度も会って信頼関係を築いていくことこそがより強い紛争の抑止力になることはもう歴史が証明していることでもあります。
是非とも首脳会談実現へ向けての外務大臣のお考えをお聞かせいただければと思います。
○国務大臣(岸田文雄君)
隣国との間に難しい問題があるからこそ、条件を付けずに高い政治のレベルで対話をするということ、これは大変重要だと認識をしています。
そして、韓国との関係においても、私も、八月、九月、二か月連続、日韓外相会談をやらせていただきました。
尹炳世長官とはこれまで四回会談を行っています。
そして、それ以外にも、局長級協議におきましても日韓間のそれぞれの関心事について率直に意見交換を行う、議論を行う、こうした努力をずっと積み重ねてきております。
さらには、次官級協議、こうした協議も行われています。
是非、こうした様々なレベル、こうした政府間のみならず、様々な分野、民間も含めて様々なルートにおける意思疎通をしっかり積み重ねることによって結果として高い政治のレベルでの対話につなげていきたいと考えています。
こうした対話の積み重ねによって、是非首脳会談を実現したいものだと思っています。
是非、韓国側にも冷静にこうした対話に応じていただけるよう期待をいたします。
○田中茂君
大臣、ありがとうございます。
冷静に対応をしていただけるためにも、是非とも、対話の門、対話の窓は開いているとか、どうぞウエルカムだとは言わないで、なるべくもうそういう余分なことは言わない方がよろしいかと僕は思っております。
これを言うことによってなおさら日本国民は単純に考えて、あんなに開いているのに中国は何で来ないんだ、けしからないじゃないかと、かえってそう思うことも出てくる可能性があるんですね。そうなると、不健全なナショナリズムも高まっていく可能性も出てくるでしょう。
そうならないようにするのが政治家の役割の一つでもあると思っておりますので、何分その点については注意していただきたいと思います。
次に質問させていただくのは、イスラム国の脅威についてであります。
先ほどから質問で、委員の方の質問がありますように、イスラム国が急速に戦闘力、影響力を高め、支配地域を拡大してきておりますが、その背景と外務省の現状分析についてお尋ねいたします。
イスラム国を放置したら、日本の国益にいかなる影響があり、世界にとっていかなる問題が生じるのか、外務省の見解をお聞かせいただければと思います。
○大臣政務官(宇都隆史君)
お答え申し上げます。
先ほども委員会の中でるる外務省の方からも説明させていただき、重複になって恐縮でございますが、まず背景にありますのは、イスラム教スンニ派過激主義を掲げるこのISIL、これが戦闘力、影響力を高めている背景に、イラクの旧サダム・フセイン政権関係者、これを含むスンニ派の社会的な不満、それからシリアでの政治的混乱といった様々な複合的な要因があるんであろうと我々は認識をしております。
このような背景の下、ISILはスンニ派住民の支持を徐々に集めつつあり、シリアで戦闘経験を積んだ戦闘員、また制圧した油田、これタンクローリー等を通じて非常に大きな潤沢な資金を得ているわけですが、それ等を活用し、シリアとイラクにまたがる領域に支配地域を徐々に拡大してきているというふうに存じております。
こうしたISILの活動は国際秩序に対する重大な脅威となっておりまして、より中東の不安定さを拡大していくものだろうと思います。
イラクやシリアで多くの犠牲者が出ている事態を外務省としては深く憂慮しているという状況でございます。
○田中茂君
次に質問をさせていただくのは、オバマ大統領が国連演説で、世界の八十か国から一万五千人以上の外国人戦闘員がシリアに渡ったと述べておられます。
オバマ大統領の言う八十か国の中に日本は入っているのか、いないのか、確認はしているのか、お答えいただきたいと思います。
○政府参考人(上村司君)
お答えを申し上げます。
様々な国籍の様々なグループからこのISILに参画しているという報道あるいは情報を我々もつかんでおりますけれども、現在のところ、日本の中からこのISILに直接参加をして戦闘行動に入っていると、そういう人がいるとは我々承知しておりません。
○田中茂君
今日、世界が最も恐れているイスラム国の脅威は、自国からイスラム国の戦闘に参加すると、参加していた若者たちが帰還し、布教及び市民を対象に残忍なテロを行うことだと思います。
イスラム国からの帰還兵士によるテロを想定した備え、リスク管理というのはできているんでしょうか。
例えば、日本、私がすぐ思い出すのは連合赤軍というのがありまして、日本のDNAとして何かそういう危険性もあるということもちょっと思うものですから、この辺のリスク管理についてお聞かせいただけないでしょうか。
○大臣政務官(宇都隆史君)
お答え申し上げます。
現地でそういう訓練を積んだ人間が帰ってくることに対するリスク管理というのは、恐らく委員が質問でも予定をされている、国内、日本から現地に訓練をするために、あるいはこういう戦闘行動をするために入る邦人をどうやって抑えるかという質問にも絡んでくるんだろうと思いますが、せんだって、安保理決議におきまして、テロ行為の実行、参加等を目的に渡航すること、またこれらの渡航に対して資金提供をするような、こういうのを国内法でしっかりと犯罪化することを求められた国連決議二一七八号が出たところでございます。
それに伴いまして、我々としましては、我が国の国内法上、個別具体の事情にもよりますけれども、テロ行為の実行のために渡航し、又は渡航しようとする行為、また、これらの渡航への資金提供については処罰対象となり得るものと理解をし、今後、各国の体系も踏まえながらでございますが、政府部内でしっかりと検討し、これらを抑止してまいろうと考えております。
○田中茂君
この件については、国家安全保障会議というのはいかなる役割をしているのか、その辺はお聞かせいただけますか。
○委員長(片山さつき君)
審議官、来ていますか。
では、岸田外務大臣。
○国務大臣(岸田文雄君)
NSCにつきましては、平素から四大臣会合を中心に我が国の安全保障に関する様々な課題につき議論をし、意見交換を行っております。
今回のこの案件につきましても、具体的な議論の日程は私自身は承知はしておりませんが、我が国の安全保障、外交、安全保障に関わる重要な課題ということで、この議論をする可能性はあるのではないかと想像をいたします。
○田中茂君
日本におけるテロへの警戒に関する施策等についてちょっとお尋ねしたいんですが、各国ではテロを警戒し、様々な施策を講じていると思います。
例えば豪州の場合、この間、アボット首相が、イスラム国の支援者が国内で一般市民の公開殺人計画をキャッチしたと公表し、オーストラリアからは百六十人がイスラム国の戦闘や支援に参加、そのうち、少なくとも二十人が帰国していると見られております。
豪州のテロ警戒レベルは、非常に高いというのと、高い、中間、低いの四段階ですが、今回、テロ警戒レベルを上から二番目の高いに上げております。
米国の場合は、テロ攻撃の脅威レベルについて、低い又は慎重を期す、高まっている、高い、高度の危機の五段階評価で色分けもしているというこ とだそうです。
アルカイダ、これはイスラム国ではないんですが、アルカイダが狙う米国内の重要施設として、原子力発電所、エネルギー関連施設、発電所、石油貯蔵・流通施設、石油化学関連施設、旅客鉄道、産業用有毒化学品を運送する貨物列車、あと、ダムを含む貯水池、生産、加工及び交通に係る食料供給施設、送電網。
あらゆるところにこのように危機レベルを、危険を察知した場合にその場合の危機レベルを評価するというふうになっておりますが、これに関して、平成十六年の三月の十七日、国土交通委員会で下条議員が質問され、当時の堀内内閣審議官が答弁を行っておられます。
下条みつ衆議院議員が、アメリカのように五段階で国民や連邦・州政府に対してきちっと明示していくことが一番必要なのではないか、日本では空港などに対する警戒態勢はあるが、国家レベル全体として危機管理体制についての確立はどのように考えているかという質問に、堀内文隆内閣官房内閣審議官は、国内の警戒レベルを段階分けする制度については米国、フランスなどに存在すると承知しているが、我が国としてもこのような諸外国の制度に関する研究は行っていきたいと考えていると、そのようにおっしゃっております。
質問ですが、その下条議員の質問に対し、当時の堀内内閣審議官は諸外国の制度に関する研究を行っていきたいと考えていると言われておりますので、それから十年を経た今、どのような研究を行ってきたのか、その結果があれば教えていただきたい。
また、その結果としてどのような対策が講じられているのか、具体的に教えていただければと思います。よろしくお願いします。
○政府参考人(藤山雄治君)
委員御指摘のとおり、テロ情勢は非常に厳しいものがあるというふうに認識をしております。
政府におきましては、まず重要なことはテロを未然に防止することであるというふうに考えておりまして、今御指摘のありました十六年と同じ年でございますけれども、平成十六年の十二月にはテロの未然防止に関する行動計画というものを政府において策定をしております。
その中身につきましては、出入国管理等の強化ですとかテロ関連情報の収集、分析の強化、あるいはテロ資金対策の強化といったような諸対策を定めて現在推進をしているというところでございます。
今御指摘のレベル分けの話でございますが、これにつきましては、そういったシステムの構築については現在具体的な対応方針を決定するには至っていないという状況でございますけれども、当然ながらその情勢に応じまして、今後も必要とされるテロ対策については不断の検証と見直しを行っていく必要があるということで、そういった対応をしてまいりたいというふうに考えております。
○田中茂君
日本ではサリン事件のようなものもありましたので、是非とも、むやみに国民に対して恐怖心をあおる必要はありませんが、警戒レベルに応じたアクションプランを想定するように検討をお願いしたいと思っております。
次に、日本国内でのイスラム国の取締りについてお聞きしたいと思います。
先ほどもちょっと御答弁されましたが、九月二十四日の国連安保理の首脳級会合は、国連憲章第七章に基づき、テロ活動を行うために外国に渡航する自国民を処罰する法整備を加盟国に義務付ける決議第二一七八号を全会一致で採択しております。
日本も提案国の一員として発議し、決議は、テロ行為を目的とした勧誘、組織化、移動などを防止し、テロリストやその支援者を罰するための国内法の整備を各国に求めるほか、テロリストの移動の察知のため、航空会社からの搭乗者情報の提供、旅行者情報の収集、分析等も求めております。
これに関して先ほどもちょっと若干触れられましたが、決議を履行するに当たり、日本は現在具体的にどのような対応を検討しているのか、国内法制化としてはどのようなスケジュールと内容を想定しているのか、お聞かせいただけませんでしょうか。
○大臣政務官(宇都隆史君)
答弁申し上げます。
午前中の法務省の答弁と若干重複するところがありますが、御容赦ください。
どのような法律でこの国連決議に対して国内法を担保していくのかということでございますが、個別具体の事情によるところではございますけれども、例えば刑法の第九十三条、私戦予備及び陰謀という部分や、公衆等脅迫目的の犯罪行為のための資金の提供等の処罰に関する法律、これは通称テロ資金提供処罰法と呼ばれておりますけれども、これの第二条第一項、資金提供、これが本決議で求められているところの渡航の禁止あるいは渡航への資金提供等に関係する法律であるというふうに思われます。
今後、各国の対応も踏まえながら、必要とあれば詳細、政府部内で検討してまいりますが、現在のところ新しい法律、新法制定に向けた特段の予定があるわけではございません。
○田中茂君
時間がないのであと一点、ちょっとお聞きしたいと思うのは、先ほどちょっと触れられましたが、テロ資金対策に関する国内省庁間の協力がどのようになっているのか、また、米国のように資金供給源を監視する体制としてNPO等の情報開示や監視強化等についても検討すべきかと考えていますが、この点に対する外務省としての御意見を聞かせてください。
○政府参考人(山上信吾君)
テロ資金対策に関する国内省庁間の協力体制についてお答えいたします。
まず、テロ資金対策でございますが、これはテロリスト、テロ組織への資金の流れを断つというようなものでございまして、テロリストの活動を根源から封じるという視点から、国際的なテロの防止、根絶のための最も重要な柱の一つであると認識しております。
政府としましては、こうした認識に立ちまして、例えば二〇〇二年にはテロ資金供与防止条約を締結しましたほか、また、累次資産凍結措置というものを実施しております。
これは、関連する国連安保理決議に基づきテロリスト等の資産凍結措置を実施するということで、こういった過程において関係省庁間で緊密な協力を行っているところでございます。
例えばということで例を申し上げれば、条約の締結につきましては、これは当然、条約でございますので、対外的な折衝は外務省が中心になりますが、国内での実施法につきましては法務省が中心となって取りまとめたところでございます。
また、資産凍結措置というものの実施に当たっては関係省庁の連絡会議を行っております。
こちらは、例えば安保理決議一三七三号に基づき、我が国が外為法に基づく凍結の措置を講じるに際しましては、財務省、経産省が共同議長となりまして、それらに加えまして、外務省、警察庁、金融庁、法務省といった関係省庁が参加してテロリスト、テロ組織の指定を行ってきているというのが例でございます。
○田中茂君
是非とも、各省庁との連携を強化させ、外務省でも適時に情報、早くできるよう体制を整えていただきたいと、そう思っております。
時間になりましたので、私の質問は終わりにさせていただきます。