元参議院議員 田中しげる

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[会議録]田中茂 外交防衛委員会(参議院) 2014年11月18日
会議録 2014/11/18

2014年11月18日 外交防衛委員会pdf

田中茂君

みんなの党の田中茂です。

早速ですが、今回の原子力損害の補完的な補償に関する条約、いわゆるCSCについて、一点のみお伺いいたします。

今後、原発関連輸出が見込まれる国や周辺国への条約加盟の働きかけについてお伺いしたいと思います。

今回、日本が締結すれば、アルゼンチン、モロッコ、ルーマニア、アメリカ、UAEに続いて六か国が締結することになります。

ただし、この六か国は必ずしも近接しているわけではなく、近隣国への越境損害への対処という意味では、現在は実効性に欠けていると言わざるを得ません。

そこで質問ですが、確かに原子力プラントメーカーが、設備等の輸出の際にはプラントメーカーには賠償責任がなくなりますので、輸出推進という一面も確かにあるでしょう。

それを踏まえると、本来なら、今後、原発関連輸出が見込まれる原子力新興国に対して、国内法の整備とともに、CSC条約加盟の働きかけを強くすべきだと思われますが、その点はいかがでしょうか、お伺いします。

国務大臣(岸田文雄君)

このCSCを締結する意義ですが、これは原子力損害に関する国際的な賠償制度の構築への貢献、あるいは原子力事故時の賠償の充実と被害者の迅速かつ公平な救済、こういったメリットを享受するというのが目的でありまして、CSCを締結することは、原発輸出を推進する、こういったことを目的とするものではないということをまずしっかり確認しておきたいと存じます。

CSCは我が国が締結することによって発効する見込みになっております。

福島第一原発事故の当事者として、国際的なこういった枠組みの構築に貢献すること、これは国の責務であると思っております。

しっかりと貢献をしていかなければいけないと思っておりますが、おっしゃるように原発輸出を目的とするものではないものですから、おっしゃるような、原発輸出が見込まれる原発新興国に特に働きかける、こういったことは想定はしておりません。

田中茂君

やはり、これは新興国、あと近隣諸国への働きかけが一番大事であると私は思っております。

先ほど小西委員から質問がありましたが、韓国もこのCSCの締結を目指し国内法整備を進めているとのことらしいんですが、先ほど質問があってお答えになったので、この辺は割愛させていただきます。

ただ、私自身これ思うには、韓国は二〇〇九年にUAEのアブダビから原発を受注しており、今後も原発輸出など積極的な海外展開を図っていくのではないかと、そう思われております。

それゆえに、日本が原子力協定を結んでいるトルコ、あとベトナム、その辺にも働きかけをするのが適切ではないかと私は思っております。

我が党は、この条約に対しては反対ではありますが、国益を考えた場合には常にその辺を考えて、さらに隣国、特に中国、韓国、原発の導入が進められているような国、インドネシア、タイ、その辺での加盟国を増やすというのが極めてこれは大事なポイントにはなると思うので、働きかけを十分にその辺は行っていただきたいと、そう思っております。

この辺でこの条約についての質問は終わりにいたします。

次に、江渡防衛大臣に対する質問であります。

私は、江渡大臣に対する政治資金の問題については今回初めて質問をさせていただきますが、今まで一回もしておりません、今回が初めてです。

私は別の観点からお伺いしたいと思っております。

それは、まず大臣は、今まで防衛副大臣を三回、また衆議院安全保障委員会委員長も歴任されたいわゆる防衛関係のエキスパートであると認識しております。

それゆえ、日米ガイドラインの見直し、中国の脅威にさらされているこの時期に、防衛を任される人材として安倍総理より大臣に任命されたものと拝察いたします。

防衛省は、数ある省のうちで、直接国の領土、国民の安全、安心を守る最も重要な役所だと私は思っております。

そこで、まずお尋ねしたいのは、この国には国や民間に様々な組織がありますが、最も危機管理に優れている組織はどこだとお考えですか。大臣、お聞かせください。

国務大臣(江渡聡徳君)

お答えいたします。

防衛省・自衛隊ではないのかなと、そのように考えておるところでございます。

田中茂君

私も、まさに危機管理に最も優れ、緊急事態に備えて最も訓練されているのは自衛隊だと考えております。

もちろん、警察また消防も同じように危機管理に優れた組織であると思います。

これらの組織は、上意下達が徹底していると同時に迷いのないのが特徴であります。

防衛とは、まさに危機管理であります。

危機管理には、大別すると、リスクマネジメントとクライシスマネジメントがあります。

御存じのように、皆さん当然御存じだと思いますが、リスクマネジメントはこれから起きるだろうという危機に対する管理、つまり様々な予防措置とも言えます。

また、クライシスマネジメントは今現実に起きている危機の管理になります。

危機をいち早く克服し、安全を回復するための管理と言えるでしょう。

当然ながら、防衛はこの二つの危機管理が機能し合って初めて成り立つものだと思っております。

そこで、少々抽象的な質問ですが、国家防衛と危機管理について、大臣御自身のお考えをお聞かせください。

国務大臣(江渡聡徳君)

お答えさせていただきたいと思います。

まさに委員御指摘のとおり、危機管理というのは大変重要なことでありますし、また国家の存立にとっても大変大事なことであろうというふうに思っております。

特に、防衛省・自衛隊、特に自衛隊というのは自己完結型の組織であるわけでありますからこそ、なおさら平素からそのための訓練や、あるいは防衛力の整備、そういうことをしっかりとやっていかなければいけないというふうに私は考えております。

ですからこそ、防衛省・自衛隊というものは、平素から防衛力の整備、あるいは日米同盟の強化、また部隊訓練などによって抑止力の向上というものに努めているわけでありますし、また、万が一事態が発生した場合に対応するために、二十四時間態勢でありますし、また三百六十五日の即応態勢というものを現在も維持しているところでございます。

ですからこそ、私は、今大臣といたしまして、このように二十四時間三百六十五日の即応態勢を維持しているこの二十五万人の隊員を預かる立場といたしましても、また国民を代表する政治家としても、今委員が御指摘のような危機管理というものをしっかりと考えながら日々職務に精励しなければならないと、そのように考えているところでございます。

田中茂君

本年八月十九日、深夜からの豪雨により、広島市北部で大規模な土砂災害が起きました。

また、九月二十七日には御嶽山の噴火もありました。

この二つの大災害に対し、自衛隊が懸命な救助活動、復旧活動を行ったことは記憶に新しいところであります。

防衛省のホームページに災害派遣の詳しい情報が掲載されていますが、例えば御嶽山における噴火に係る災害派遣について、最終報を見ると、九月二十七日から十月十六日の撤収までの活動が、毎日それこそ時間単位で克明に記されております。

これはホームページ上のものですから、本来の報告書は更に詳細だと私は推察しております。

このホームページの御嶽山における自衛隊の活動内容は御覧になっていらっしゃいますか。

国務大臣(江渡聡徳君)

はい、見させていただいております。

田中茂君

自衛隊の組織としては、活動内容を多くの人に知らせると同時に詳細な記録を残すということでごく当然なことをやっておられると思います。

翻って、その長たる大臣の政治資金収支報告書のずさんさはどうなっているのかと。

さらに、起きた問題に対する処理もひどいと言わざるを得ません。

リスクマネジメントやクライシスマネジメントが全く機能していない。

また、それ以前の問題でもあると思います。

我が国に対する武力攻撃は、いつ行われるか分かりません。

訂正も弁解も利きません。

失敗すれば多くの人命が失われるかもしれません。

自らの危機管理もできずに国家防衛に力が発揮できるのか。

多くの国民は不安がっていると思いますよ。

いかがですか。

お聞かせください。

国務大臣(江渡聡徳君)

お答えさせていただきたいと思います。

委員の御指摘、まずもってもっともなことだと思っておるところでございます。

と同時に、この収支報告書の訂正の経緯ということは、これまでもこの委員会始めほかの委員会等々におきましても累次御説明しているとおりでございます。

まず、今年の八月の下旬におきまして、大臣就任等々の報道もあったことから、事務所の方におきまして改めて収支報告書を確認したところでございまして、そのときにおいて記載に誤りがあったということの報告があったものですから、九月の二日及び十日に訂正を行わせていただいたわけでございます。

本件につきましては、実際には職員らへの人件費でしたけれども、いずれも私に対する寄附というふうに誤記されていたものです。

このような誤記が生じたというものは、職員らに人件費を交付するに際して私名義の仮の領収書を作成していたために、後日、担当者が政治資金収支報告書の作成の際にこの仮の領収書を私への寄附と混同してしまったことによるミスでございました。

以上が本件の事実関係でありますけれども、やはり、これまでも政治資金収支報告書につきましては、法令に従いまして、登録政治資金監査人による政治資金監査を受けるなど、私自身はきちんと作成し、確認を行ってきたつもりでありましたけれども、今回の訂正によりましてこの委員会始め各所に御迷惑をお掛けしたこと、これは本当に心からおわび申し上げなければいけない点だろうというふうに思っております。

今後、このようなことのないように、確実に、そして適正に対応してまいりたいと思っておりますし、また、しっかりとした形の説明責任を務めるように努力していかなければ、二十五万人の自衛隊に対して私は示しが付かないというふうに思っておるところでございます。

田中茂君

私はそういうことを聞いているんじゃないんです。

大臣の心構えを、常に危機管理を持っていただきたいということを言っているだけです。

今年の四月に統合幕僚監部が発表した緊急発進、スクランブル回数のデータがあります。

ここに私、お配りしておりますが、それによると、平成二十五年度、つまり二十五年の四月一日から二十六年の三月三十一日まで、スクランブル回数は八百十回。

今年四月から九月までの六か月では五百三十三回。

平成二十三年度が四百二十五回。

二十四年度が五百六十七回。

急激に回数が増えております。

ちなみに、これまでの最高回数は昭和五十九年の九百四十四回であります。

これは、東西冷戦の最終章を迎え、ソ連との関係が極めて緊張していた時期だと思います。

ちょうど、大韓航空機事件が起こった時期もこの頃でしょう。

昨年度の八百十回の内訳は、中国機に対するものが四百十五回、ロシア機が三百五十九回、北朝鮮機などがその他三十六回となっております。

平均すると、一日に二回以上緊急発進をしております。

パイロットたちは、危機意識を持って常に緊張状態でスタンバイしております。

そのような中に、尖閣諸島や北朝鮮をめぐって緊張の真っただ中にあるこの時期、二か月間以上御自身の寄附問題や失言で時間を費やしているわけです。

正直じくじたる気持ちでおられると推察します。

防衛大臣という立場は、国の安全と直結しているという意味で極めて特殊なものだと考えます。

国家そのもの、国民の命だけじゃなく、直接的には先ほどおっしゃったように二十二万五千人の隊員の命が懸かっている、そういう立場であります。

その責任の重さ、緊張加減は尋常ではないと思っております。

したがって、何度も言いますが、優れた危機管理が求められます。

危機管理は、何よりも初動の速さ、動き出しの速さが必要です。

そして、即断力と決断力を持った強いリーダーシップ、加えて展開力と終着点を見通す力が求められます。

実際、尖閣諸島では一触即発の状態が続いています。

北朝鮮のミサイルがいつ飛んでくるかも分からない。

そういう状況にあって、場合によっては自衛隊員が地球の裏側に行ってそういう職務に就くことがあるかもしれません。

自衛隊の最高責任者はもちろん総理であります。

最終的な判断は総理ということになりますが、防衛大臣は自衛隊を動かす現場の最高指揮官と言えます。

国民や隊員に対して、改めて防衛大臣として責任と任務についてどのようにお考えか、お聞かせください。

国務大臣(江渡聡徳君)

お答えいたします。

確かに、委員のおっしゃるとおり、この二か月間、私の関わることで議論が思うように深まらなかったという点に対しては心から反省をさせていただきたいと思っております。

ただ、その中においても、御嶽山のときにおいても、毎日ですけれども、五時前後には役所の方から報告がありまして、今日ヘリが飛べるとか飛べないとかという、そういう連絡も全部受けながら、私は私なりにやれることは精いっぱい今までもやってきたつもりであります。

ただ、その中において、今回自分のことに対して、このような形で委員会の審議が思うように深まらないということはしっかりと反省しなければならないというふうに考えているところでございます。

その点については私自身も猛省をしなければいけないと思っておりますけれども、しかし、その中においても、現在自分ができる範囲内で職務だけはしっかりとやり遂げようというその思いだけは強く持っているつもりでございます。

また、そのことを自分自身もやり遂げなければ、防衛省・自衛隊員の皆様方に対して示しが付かないというふうに思っているところでございます。

田中茂君

今回のこの資金管理の問題、何が問題かというと、防衛大臣の職にある人物のリスク管理が全くなっていないと、これが世間にさらされたということであります。

私はそう思っております。

この大臣の問題は、インターネットを通じて世界中に流布されておりますが、どれだけ国益を損なっているのか。

平常時からリスク管理と危機管理を怠らないことで、どんな事態が起きた場合にも適切な対応が迅速にできるわけであります。

危機管理に必要かつ重要なのは、トップの姿勢とも言われております。

トップに立つ者のリスク管理ができていないということでは、防衛省の職員全体の士気にも関わってくると、私はそう思っております。

かつて防衛庁長官を務めた方で、これは余談になりますが、当時の総理大臣から別の重要ポストを提示されたにもかかわらず、あえて防衛庁長官を志願された方がいます。

その志願の理由を問われた際に何と答えられたかというと、日本の防衛体制及び世界との安全保障体制がいかになっているのか、それを詳細に調べると、さらに、日米関係の基軸は安全保障にある、日米関係をつなぐぎりぎりの線はどの辺にあるのか、日米関係の表に現れない底の底を知っておきたいからだと、そう言われたそうであります。

今現在、辺野古移設問題があり、海兵隊のグアム移転があり、新ガイドラインもあり、アジア太平洋地域のリバランスがある。

その中で、我が国の国益を考えて、日本国家としての独自の視点を常に見据えて最大の注意を払っていただきたい。

そういう意味でも、重責を担う大臣の一層の自覚と危機管理をお願いし、私のこの質問を終わりにしたいと思います。

日本に生まれ育ち、一生を過ごしたいと言える「誇りのもてる国」
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