○田中茂君
ありがとうございます。
今日は、三名の参考人の方、出席、御臨席賜りまして本当にありがとうございます。
お忙しい中、ありがとうございます。
私の方からも何点か質問させていただきたいと思うんですが、先ほどから委員の皆さんほとんど大体同じような質問をされましたので、私の方からちょっと谷口先生にお尋ねしたいんですが、ドイツの例を挙げていただきましたが、ドイツのトラム、そもそもあのトラムに乗客されている方というのは、リピーターの方が多いんでしょうか、それともそこに住んでいる方がほとんどなんでしょうか、若しくは観光客が多いのか。
そもそもドイツにおいては、どちらかというと、もうコンパクトシティーができていたんではないかと思うんですが、歴史的、文化的背景から。その辺を谷口先生にお聞きしたいと思います。
○参考人(谷口守君)
ありがとうございます。
リピーターというか、やっぱり居住者の方が今回紹介させていただいたケースではほとんどです。
カールスルーエは一応観光客も参りますが、それほどその数が非常に多いというわけではないのでこういう形になっているということです。
御指摘のとおり、元々そういう形になっていたのではないかというのも半分そのとおりだと思いますが、それを維持しようという努力がなされているということが重要なポイントかなというふうに思います。
そういう意味でいくと、実は世界の中でも我が国は実はコンパクトな都市形態を持っている。
持っていたと言った方がいいのかも分かりませんが、例えば東京にしても京阪神にしても、民間施設が実はしっかりとコンパクトシティーというか、自分の沿線沿いに住宅開発をしたり、果ては郊外の一番端っこにレジャーランドまで造ったりして日曜までお世話しようというふうな形で、実はコンパクトな都市形態を日本は一番持っていたわけなんですよね。
それが損なわれているという認識をまず我々は持つ必要があって、その良いところをどうやってきちんとキープしていくのかという、そういう観点も大事になるかと思います。
どうもありがとうございます。
○田中茂君
ありがとうございます。
今御指摘ありましたように、元々歴史的にはコンパクトシティーは日本にあったと。
そういう中で、ここ七年間、この法案ができてからずっと同じ改正を繰り返してきたわけなんですが、一体その原因は、先ほど先生おっしゃったように、政治家に一番あるとおっしゃっていたんですが、そのほかの最も大事な課題というものは何と思われますか。
それを御三方の参考人の方に聞きたいと思います。
○委員長(藤本祐司君)
では、宇都宮参考人、岡本参考人、谷口参考人の順番でお願いいたします。
○参考人(宇都宮浄人君)
ありがとうございます。
最もと言われるとあれですが、先ほど私が申し上げた観点でいえば、やはり大都市圏はたまたま公共交通が黒字経営を維持できてきたためにコンパクトシティー的なものが成り立ったわけで、地方都市も高度成長期まではそうであった。
けれども、不動産経営しているところが、むしろバブルがはじけてくるという形で傷んできた。
つまり、やはり公共交通というのは、施設も含めていわゆる通常の民間事業としてやってこれたところが、結果的に、今となっては大きな社会構造の変化の中で対応できなくなっているということが交通面では一つ挙げられるのではないかと思います。
○参考人(岡本勝規君)
申し上げます。
やはり、最も大きな課題というのは、モータリゼーションの進展をどのように解消していくのかというところではないかと考えております。
少なくとも、地方都市においても、モータリゼーションがまだ始まったばかりの頃では、公共交通にたくさん人が乗って、中心市街地にたくさんの人が押しかけておりました。
とてもにぎわいがございました。
そして、それほど大幅に、もう人口が半減したとかそういうわけでもないにもかかわらず今は閑散としているということですから、明らかに自動車の影響が強いと思います。
したがって、何度も言いますが、自動車と比較して公共交通を取るというスキームをつくるというのが何より大きな課題かと思います。
あと、より付け加えるならば、どうしても考え方として、例えば家族を持った場合、郊外に一軒家を建ててそこに住むんだというような価値観もあろうかとは思います。
それはもちろん否定はされないわけでございますけれども、そういった人たちが自動車ではなくて中心市街地に公共交通で来れるようにすれば両立ができるのではないかと思っております。
以上です。
○参考人(谷口守君)
御質問の趣旨は、なぜコンパクトな市街地ではなくなってきているか、その理由をということだったと思いますが、一番の理由は、私は日本が非常に民主的国家だからというふうに思います。
というのは、郊外に農地を持っておられる方とかがやっぱり住宅開発をしたいというふうな要望が非常に強いわけですよね。
自分のところの隣のところまではオーケーなのに私のところからは土地利用コントロールが掛かっているからできないのはおかしいじゃないかとかというふうな御意見というのは非常に強いわけです。
そういうニーズと、先ほど岡本参考人がおっしゃった一戸建てが欲しいという個人のニーズがつながってそういうふうなことが起こっているというのが現実でございますので、これは極めて根が深い。
政治家のせいではございませんで、これは日本人全員の問題でございまして、そういう問題があるよと、それは実はみんなが自由に好きにしようと思ってやっているから、結局、結果的に将来の自分たちのメリットを減らしているんだよというふうな理解の仕方をする必要があるのかなというふうに思います。
以上でございます。
○田中茂君
ありがとうございます。
ただ、今おっしゃったように、日本の場合は文化、伝統が極めて地域に根差しているわけであって、その部分をどうにか解決しないことには難しいと思うんですね。
特に日本人の場合のアイデンティティーというのは、すなわちふるさと、町、そこから源泉しているわけですから、その部分を考えた場合に、単に効率性、効果性ということだけで済まない部分があるのではないかと思うんです。
その部分について、谷口先生、どうお考えですか。
○参考人(谷口守君)
面白くなってきました。
これ体質改善というふうに私申しましたけれども、基本的には、ここに僕も付いているんですけど、ぜい肉ですね、ぜい肉を取りましょうと言っているだけの話なんですよね。
そのぜい肉の部分というのは、戦後、郊外化で人口が都心に吸収できなくなった部分が外に広がってしまったという、そういうスプロールの部分であって、そういうことを繰り返すのはやめましょうというお話であって、よくこれコンパクトシティーの話で誤解されるんですが、何か地域を根本的になくしてしまいましょうとか、文化を消しましょうとか、中山間地から撤退しましょうとかという、そういう議論では全然ないです。
だから、そういう議論ではないということをまず御理解いただいて、どうやったらぜい肉を減らせるかということに取り組んでまいりましょうという御理解いただければいいかなと思います。
以上でございます。
○田中茂君
ありがとうございます。
それだったらなおさらのこと、これは一省の話ではないと思うんですが、極めて、先ほど戦略的と戦術的なお話されたんですが、戦術的には分かるんです。
ところが、戦略性がないものに幾らいろんなことを付加しても戦術がうまく機能しないのではないかと。
すなわち、ハード面を幾ら充実させても、ソフト面、特に地方自治体というのは様々な経営体があるわけですから、そのソフト面をどううまくそれとコンバインさせるのか、その辺が必要だと思うんですが、宇都宮先生、御意見を聞かせていただけませんか。
○参考人(宇都宮浄人君)
ありがとうございます。
ソフト面、重要ですので、何がという答えはないんですが、ただ、今回の法律もそうですが、私、経済学やっている人間からすると、やっぱりある程度のインセンティブ、いわゆる動機付けという意味で、従来であれば、先ほど申し上げた公共交通は黒字でなければならない、だから運賃を上げなければならない、そうするか若しくはサービスを切り捨てなければならない。
そうなると、結果的には運賃が高くなる、サービスが悪くなる。
それでは、従来公共交通を利用して町に出ていた人も出なくなるわけですね。
そうなって一旦悪循環になると、じゃ、しようがないから車を利用しよう、そうするとますます公共交通に乗らなくなる、更にサービスが悪くなる、この悪循環が続いているわけなので、私は、どこか今回の法改正を、更に実効的なものによってこの悪循環を歯止めを掛ければ、あっ、そうではないんだ、公共交通使いやすいんだとなれば、全員が全員ではないんですけれども、もう本当に一割の人が転換するだけで大きく社会は変わってくるんだろうなと思うわけで、そういう一つの何か動機付けとして、今回の法改正で運賃制度が変わるとか路線が変わるとかダイヤが便利になるとか、こういうことが行われれば、私は希望を持っております。
○田中茂君
ありがとうございます。
時間がもう来ましたので、これで終わりにしたいと思います。
またいろいろと御質問させていただきたいと思いますので、そのときにはよろしくお願いいたします。