元参議院議員 田中しげる

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[会議録]田中茂 国土交通委員会(参議院) 2014年5月27日
会議録 2014/05/27

2014年05月27日国土交通委員会pdf

田中茂君

みんなの党の田中茂です。

早速、道路法等の一部を改正する法案への質問をさせていただきます。

確かに高速道路建設後五十年近く経過しており、今後、老朽化対策やメンテナンスに費用と時間が必要となるという点は十分に理解し同意した上で、以下の点についてお伺いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

まず第一に、これは参考人質疑でもお伺いしましたが、再度お聞きしたいと思います。

中央道の笹子トンネル内天井崩落事故についてであります。

昨年六月公表のトンネル天井板の落下事故に関する調査・検討委員会の報告書を見ますと、現段階での天井板落下の原因は、天頂部接着系ボルトの設計、施工を含めた接着部の問題を始めとした複数の要因が影響したとの結論に至っています。

報告書の最後に、各現場における構造物の経年変化並びに点検の実施計画、計画を変更した場合にはその経緯等に関する情報が組織内で共有、継承されるように、特定の技術者や点検員が定期的に当該構造物の点検に携わるようにするなど、補修補強履歴等が確実に記録、保存される仕組みの構築やマネジメントの実施が重要であると。最後に、国並びに各道路管理者は、以上を教訓に確実な維持管理等に関わる仕組み、実施体制の整備を図っていくべきであるという提言がありました。

この意味を考えると、建設後にきちんとした維持管理の履歴が残っていなかったというようにも取れます。

それも事故の遠因になったのではと思いますので、今回の法案で提案されている大規模更新、大規模修繕の根拠となる事故だけに、笹子トンネルとそれ以外の場所についてどのような再発防止策や維持管理の履歴のような仕組みの導入を検討し、現段階でどの程度の取組が既に行われているのか、その辺を再度お聞かせいただければと思います。

政府参考人(徳山日出男君)

笹子トンネルとそれ以外、全国にわたる取組についてお尋ねをいただきました。

笹子トンネルに関して言いますと、笹子トンネルの天井板落下事故後に私どもいたしましたことは大きく三つだと思います。

緊急点検、そして原因究明、再発防止という三つでございます。

手短に申し上げますと、緊急点検につきましては、笹子と同様のつり天井板を有するトンネルについて全国で点検をいたしまして必要な措置を講じました。

原因究明につきましては調査・検討委員会にお願いをいたしまして、事故は天井板をつり下げる部材の施工や経年劣化などが原因であったという結論をいただいております。

また、同様のタイプの再発防止策につきましては、笹子トンネルと同様の構造を有する十六トンネルについて措置をいたしまして、これまでに九トンネルにつきましては天井板の撤去等を完了しておるという状況でございます。

一方、このような笹子トンネルと同様の構造を有するトンネルへの再発防止策に加えまして、お尋ねのように、全国に対しまして、国土交通省といたしましては、昨年道路法を改正をさせていただきまして、本年三月三十一日に道路の維持修繕に関する省令を公布をさせていただきました。

これによりまして、全国の橋梁やトンネル等は五年に一度、近接目視の点検を行いますとともに、点検や修繕の内容を記録し保存すること等、道路管理者の義務を既に明確化したところでございます。

昨年をメンテナンス元年として様々な取組を講じてまいりましたけれども、今年はいよいよメンテナンスが本格的に実施されるように積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

田中茂君

ありがとうございます。

今後の大規模修繕、大規模更新、莫大な費用が掛かってまいります。

メンテナンスがなければ幾ら修繕、更新をしても無意味になる可能性があるので、その辺は徹底していただき、二度と笹子トンネルのような事故が起きないようにしていただきたいと思います。

次に、高速道路の老朽化の対応について御質問させていただきます。

東京オリンピック後、首都高は、約五十年を経過した現在、当然のようにかなりの傷みや劣化が生じており、高速道路の四割が竣工後三十年を超え、早急に老朽化対策が必要なのは理解しております。

今回の法改正で対象となる大規模更新、大規模修繕は、概算事業費として首都高が六千三百億円、NEXCOが三兆二百億円、阪神高速が三千七百億円という巨額の金額が示されています。

しかし、NEXCOの資料を見ますと、この更新で対応ができる部分は約二百四十キロの橋梁部分の床板取替えが主であり、大規模修繕の対象箇所も一千八百七十キロで、合わせても全体の一割程度で、それもメンテナンスにすぎません。

たとえこの部分の更新、修繕が一段落したとしても、その頃にまた別の箇所の老朽化が進行し、同様の更新、修繕が必要となる可能性があり、そうなると更新、修繕は今後ほぼエンドレスで必要ということにも受け取れます。

同様の質問もあったかとは思いますが、今回の対象箇所についてはどのような考えで選択し、今後エンドレスで必要となる更新についてどの程度の規模を見込んでいるのかお聞かせいただきたいと同時に、阪神・淡路大震災、東日本大震災以降、耐震の観点からも修繕や更新は行われてきたと思います。

これに関しては、既に大規模更新、大規模修繕との関連があるのか、震災対策に対する今後の方針や見込みがあれば併せてお伺いしたいと思います。

政府参考人(徳山日出男君)

まず一つ目の、エンドレスで更新が必要になるのではないかというお尋ねでございますけれども、今回の更新計画につきましては全国的にいろいろな吟味をいたしました。

そういうことの中で見ますと、建設時に施工を急ぐなどの無理をした箇所がまず挙がっております。

これは昭和三十九年の東京オリンピックあるいは昭和四十五年の大阪万博に合わせて整備をしたところという例でございます。

もう一つは、古い基準で設計された箇所などが挙がりました。例えば、これはもう更新が必要な橋だなというのをNEXCOから上がってきたものを見て原因をいろいろ見てみますと、例えば高度成長期に砂が足りなくて海砂を使った例というのがございました。

これに対して、同様の海砂を使ったものを全国的に横に精査をしたりいたしまして、その中で拾い上げてこのような数字をつくっております。

ただ、例えばこの海砂の例でいいますと、昭和六十一年にJISが決められまして、海砂を使う場合には脱塩をどうするかということが明確になっておりますから、昭和六十一年以降のものについてはこのようなものが出ないということでございます。

したがいまして、五十年を過ぎるとどんどん出てくるということではなくて、施工を急いで無理をしたもの、あるいは古い基準のものというものが今回の対象になっておりまして、今回の対応以降、次々に更新需要が生ずるということにはならないと考えております。

もう一点、耐震補強との関係をお尋ねいただきましたけれども、この耐震補強につきましては、阪神・淡路大震災と同程度の地震により倒壊等の甚大な被害が生じないよう、橋梁耐震補強計画の下、鋼板による橋脚の補強あるいは落下防止のケーブル設置などの部分的な補強工事を平成七年度より進めて、高速道路につきましては平成二十五年度末までに対象箇所全てを完了したところでございます。

この耐震補強と大規模更新、大規模修繕は趣旨、目的が異なりますことから、耐震補強済みの箇所についても大規模更新・修繕が別の事業として必要になるとは考えております。

ただ、これはまた目的が異なりますので、多くの場合重複することなく対応できるというふうに考えておるところでございます。

田中茂君

ありがとうございます。なるべく重複しないように、無駄を省いてやっていただきたいと思います。

次に、道路公団のファミリー企業についてお伺いいたします。

さきの道路公団民営化のプロセスでは、道路関係の公団から独占的に高コストで業務を受注し、内部で利益を吸い上げながらOBの受入先として増殖してきたファミリー企業の実態が初めて明らかになりました。

このような状態が続けば、市場原理が働かない高コスト体質が続いて、採算性のない道路や設備の建設にもつながりかねません。

このため、民営化時には新会社発足までに六千億のコストの三〇%の削減を行うべきという提言がなされました。

公団の高コスト体質の元凶であったファミリー企業やその体質を引きずるカルチャーが残っていれば、今後大規模修繕など新たな業務が発生した際に同じ轍を踏むことにもなりかねません。

このような観点から、民営化後のファミリー企業の動向を総括することと、今後の大規模改修時の事業化に伴いファミリー企業への発注などが復活し以前の高コスト体質に戻らないよう監視する仕組みも必要であると考えます。

高コスト体質を温存し、そのツケを次世代に押し付けることは断じて許されるべきではありません。

いずれにしましても、更新事業を進めるのであれば、その前に高速道路会社のコスト縮減を徹底するのが大前提だと考えますが、御見解をお聞かせいただきたいと思います。

政府参考人(徳山日出男君)

道路関係四公団の民営化に当たりましては、三つの大きな目的が言われました。

一つは、約四十兆円の有利子債務を確実に返済をすること、二つ目は、真に必要な道路を、会社の自主性を尊重しつつ、早期にできるだけ少ない国民負担の下で建設する、三つ目は、民間ノウハウ発揮により多様で弾力的な料金設定やサービスを提供すること、この三つでございました。

こういう観点からの議論が行われましたので、いわゆるファミリー企業につきましては、旧道路公団と資本関係のない特定の企業が維持管理業務等の多くを受注、実施をいたしまして、この点について非効率性や契約の不透明性が批判されたというわけでございます。

このため、民営化後は、かつてのファミリー企業が行っていた業務のうち、管理瑕疵や企業信用に直結する業務やサービスエリア業務につきましてはグループ内の連結子会社で実施することで内部化をいたしまして、連結決算の対象とすることで効率化、透明化を図ったわけでございます。

また、連結子会社で実施しないこととした業務については、市場競争化により競争性のある発注契約を行っております。

今後、更新事業を進めるに当たりましても、新技術の活用や合理的な施工方法の採用等による更なるコスト縮減を進めるとともに、引き続き経営全体の効率化に努めるよう、各高速道路会社を指導してまいりたいと考えております。

田中茂君

次世代にツケは断じて残さないという自覚でコスト削減を徹底していただきたいと思います。

次に、道路関係四団体民営化のスキームの見通しと変更についてお尋ねいたします。

道路公団の民営化は、その議論を振り返ってみると、民にできることは民にとの小泉総理のリーダーシップの下で行われた非常に勢いのある改革であったと思います。

しかし、今までの参考人の先生方や委員会での様々な議論を聞けば聞くほど、これまでの公団方式と同様、高速道路は将来無料開放するという枠組みを採用したこと自体本当に正しかったのか、疑問に思える部分もあります。

恒久有料化の場合の固定資産税の課税問題など難しい問題があったことは承知していますし、将来の首都高速や東名高速の無料化が当時現実的ではないと思った国民も多かったと思います。

更に冷静に考えれば、道路が存在する限り恒久的に維持管理費用は必要になるわけですし、その費用を料金収入以外で賄おうとすれば国民の税負担が莫大になることは自明でもあります。

広田先生、民主党としての提言をしていただきましたが、この際、維持管理に関する費用については料金として取り続ける考え方に変更した方がよほどすっきりすると思いますが、大臣の御見解をお聞かせください。

国務大臣(太田昭宏君)

我が国の道路は無料開放が原則でありまして、厳しい財政状況がありましたものですから、昭和二十七年に道路整備特別措置法を制定して、料金収入によって道路を整備するという制度が導入されて今日に至ります。

無料開放した後の維持管理、更新については、一般道路と同様に税金によって負担をするというふうにしております。

高速道路を恒久的に有料にすることについては、利用者を始め広く理解を得られるかという課題もありまして、今後も慎重な検討が必要であるというふうに考えているところでございます。

田中茂君

大臣、ありがとうございます。

大規模更新、大規模修繕、その延長を考えれば、六十年後に無料開放した場合には現在の料金収入が一切入らなくなるわけでありますので、次世代に申し訳ないという思いもするんですが、それゆえに次の質問をさせていただきます。

日本橋付近の高速道路地下化の可能性についてであります。前回の委員会で同僚の和田委員からも質問がありました、日本橋付近の高速道路地下化の可能性について再度お尋ねいたします。

かつては日本の幹線道路の出発点でもあった日本橋が、首都高速が上に通ったことですっかり風景が変わってしまったことは、前回の和田委員から配付された写真を見ればよく御理解できると思います。

そして、この日本橋の空を取り戻すということで、大臣もこの間お話しされた日本橋川に空を取り戻す会の提言で、この首都高を地下化した場合の費用の見積りやシミュレーションが行われています。

当時の試算では、費用はほぼ五千億円、その一部を地元が負担するというスキームも想定されていたと私は記憶しています。

また、今回の六千三百億円の予算を盛り込んだ首都高五区間の大規模更新の対象に日本橋を通る都心環状線の竹橋―江戸橋間が含まれており、この日本橋付近の修繕、更新は一つの大きな課題で、実現を検討するに十分値するテーマだとも考えています。

地下化や建て替えには費用だけでなく地元の協力が不可欠で、なかなか難しい問題でもありますが、この日本橋地区については、これまでの経緯を考えますと、地元の協力も比較的得られやすいのではないかと思います。

首都高速が造られた当時、先ほどからおっしゃっていますように、東京オリンピックに間に合わせるということで用地買収に時間が掛けられなかったと、このように河川上などに道路を通すことが多かったとも聞きます。

日本橋の頭上を走る首都高は、他国に追い付け追い越せと経済成長と効率性を第一に掲げた高度成長時代の負の遺産の一つでもあると考えます。

今回の大規模修繕、大規模更新に伴う償還期間延長等々で次世代にツケを残すのかという議論が非常に多かっただけに、風景や歴史も都市の資産であり国民の資産でもあるという考えに基づいて、この日本橋問題で、次世代に向けて夢のある付加価値を含む新しい資産を残したというシンボルとしても、地下化などの最新の技術を駆使した新しい首都高速を造ることを考慮すべきではないかと思われますが、この点について大臣の御意見をお聞かせください。

国務大臣(太田昭宏君)

平成二十四年に、三宅久之さんを座長にいたしまして、老朽化した都心環状線、これをどうするかという、またこれは東京の再生ということになりますが、そういう議論が行われて提言がまとまりました。

この提言を踏まえまして、まずは、首都高速の築地川区間、これ、川をそのままやったものですから、今も行きますと、橋がそのまま残って、橋脚がそのままあって危ないというマークがされていたりするんですけれども、そこをモデルケースとしまして、東京都そして中央区等と連携を取り、検討会を設置して、都市と再開発とそして更新事業を一体的に実施するということにつきまして、具体的な検討を始めているところでございます。

日本橋につきましても、高速道路を地下にというだけでなくて、空を取り戻すとともに、あそこは水を取り戻すと。

東京は、実は世界の人をお迎えするに当たって、水辺の空間というところで見ていただくとか楽しんでいただくところが残念ながらございません。

日本橋も新橋も、橋が付くところが非常に多くて、江戸ということを復活させるには水辺空間というものをどうつくるかということも大事でありまして、まちづくりと一体、そして江戸を復活させる、日本の本当に良さというものを提起する、そうしたことでの、首都高速の更新と相まって、まちづくりと一体となったそうした再生ということについて今検討が始まっているところでありますけれども、私は、進むことは大変結構なことだというふうに思っているところでございます。

委員長(藤本祐司君)

田中茂君、時間が来ていますので、まとめてください。

田中茂君

ありがとうございます、大臣。

是非とも、次世代に向けて、ツケではなく、このような夢を与えるのも大事だと思いますので、是非とも実現させていただきたいと思います。

それでは、私の質問を終わりにします。

日本に生まれ育ち、一生を過ごしたいと言える「誇りのもてる国」
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