○田中茂君
みんなの党の田中茂です。
早速ですが、今回のマンション建て替え円滑化法改正案につきまして幾つか質問をいたします。
まず第一に、先ほどからも何度か質問は出ていたと思うんですが、ディベロッパー選定における競争性、透明性の確保についてお伺いしたいと思います。
先ほど局長も若干触れられましたが、シンガポールのマンション敷地売却制度の調査報告を読まさせていただきましたが、購入事業者の選定は公募入札により行われるとともに、一括売却の合意形成に関わる専門家や事業者と開発を行う購入業者とが完全に分離され、利益相反行為の禁止が厳格に運用されているということであります。
本法律案ではディベロッパーの選定は法律の範囲外ですが、どのようなディベロッパーが建て替えを行うかはこの敷地売却によるマンション建て替えを進めるに当たり極めて重要な要素になると思います。
その場合、単一のディベロッパーとの間で話が進められると、買取り価格が果たして妥当なものなのかその適切性を検証することができないため、例えば区分所有者側から見ると安く算定されるという懸念があります。
その結果の担保割れなどの可能性があることを考慮に入れると、一旦は建て替えに同意した場合であっても、ちゅうちょする区分所有者も出てくると思います。
また、一方で耐震診断や敷地売却、売却価格などで区分所有者の合意形成が進まず、当初想定していたよりも時間が掛かる状態になれば、ディベロッパー側としてもビジネスリスクや訴訟リスクが高くなり、事業への参入が進まないことも想定されます。
そこで、質問なんですが、競争性に加え、価格査定の妥当性と透明性を確保するため、またディベロッパーの事業遂行能力を検証する意味でも、公募入札のような仕組みをつくるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
また、先ほど御答弁されましたが、ガイドラインを示すというようなこともおっしゃっていましたが、具体的にはどのような仕組みを考えていらっしゃるのか、より詳細にお聞かせください。
○政府参考人(井上俊之君)
お答え申し上げます。
御指摘のとおり、どういうディベロッパーを選ぶかということは、この事業を進める上ではもう基本中の基本ということだと思います。
今回の売却制度では、一般的には複数のディベロッパーの中から区分所有者の方全体にとって最も有利な条件、買受け価格が一番大きいと思いますけれども、を提示するディベロッパーを選定すべきだ、その選定方法は、当然競争性があり、透明性があるものでなければいけない、こういうふうに私どもも考えているところでございます。
法定の中で入札とかプロポーザルの仕組みというのは入れてございませんけれども、御指摘のありましたガイドラインの中で、基本的にはプロポーザル方式を推奨とまで書けるかどうか分かりませんが、推奨していこうというふうに思っております。
具体的には、事業者から提案内容をしっかり出していただく、どういう提案を出していただくかということを大体お示しをする、そして出てきた提案について、どういう観点から公平な判断をしていくかというようなことをお示しをするんだというふうに思っております。
なお、入札方式とかあるいは随契方式というのもメリット、デメリットがございます。
例えば小規模なマンションでも、この業者で間違いないということをみんなが思っているような場合には随契の方が早く手続が進むということも考えられますので、問題点をしっかり指摘をした上で、そういう複数のやり方も選べるようにガイドラインは作ってまいりたいと思います。
○田中茂君
ありがとうございます。
今の御答弁で関係しているんですが、本法律案では、ディベロッパーに対し状況報告を求めることができると同時に、助言等を行い、問題があった場合には勧告し、勧告に従わなければその旨を公表できるとありますが、どのような形での勧告や公表を想定されているのか、お聞かせいただきたいと思います。
○政府参考人(井上俊之君)
お答え申し上げます。
御指摘のように、本法案では、買受人、ディベロッパーでございますが、が買受け計画に従ってマンションの買受けや除却、それから一番恐らく問題になるのが代替建築物のあっせん、提供、これを行うことになっていまして、これを計画に従って行わない場合には、都道府県知事が勧告、勧告に従わなければ公表ということでございます。
勧告や公表の方法というのは特に決まりがあるわけではございませんが、一般的には、勧告に関しては勧告書等の書面交付で行われることが多いと思います。
また、公表に関しては、会社名の公表に至った原因や事実、これにつきまして公報掲載、記者発表、ホームページへの掲載などによって行うということだと思いますので、今回の制度でもこういう方法が取られる。
また、必要があれば、これもいろんな方の御意見を聞いてでございますが、ガイドラインの中にも載せていきたいと思います。
○田中茂君
先ほど委員の方も若干ちょっと触れていらっしゃいましたが、利益相反、利害対立が起きる可能性も十分あるということですので、この辺、マンション建て替えを円滑に進めるためにも十分検討していただきたいと思います。
次に、ほかの法制との整合の問題についてお聞かせいただきたいと思います。
建築基準法が改正され、現在の耐震基準が定められたのは昭和五十六年であります。
したがって、耐震性の不足の老朽化マンションは多くが昭和五十六年以前に建てられたと考えられます。
一方で、建築物の高さの規制制度が拡充されましたが、その代表的制度が日影規制制度で、昭和五十一年に創設されたと思います。
現在、老朽化マンションを建て替えようとした場合、容積率を緩和しても、周辺地区に日影規制が掛けられると建物の高さが抑えられ、結果として容積率を最大限に活用した高度利用が実現できないといったケースも少なくないのではと思います。
このような日影規制を始めとした斜線制限、関連する条例なども含む規制緩和や調整などの措置を講じる必要性があるとは思いますが、その辺、現状に即した適切な運用が求められると思いますので、国交省の御見解をお聞かせいただきたいと思います。
○政府参考人(井上俊之君)
お答え申し上げます。
容積率に関しましては、事業採算とかマンションの危険性を除去するために必要だという観点でできるだけ高くした方がいいという立場と、それから、周りの方が主なんでございましょうけれども、日影を受けるとか圧迫感があるとかいうことでできるだけ抑えてほしいという立場、両方の立場を公共団体がよく現状も見ながら最後は許可の判断をしていただくと、こういうことになるんだと思います。
御指摘の高さについても、そういう観点からどういうふうに判断していくかというのは一義的には公共団体が決めていくということなんだと思いますけれども、一つ、日影規制に関して申し上げますと、これは日影を受ける側が日影が落ちることを許容しないということを決めるというルールでございまして、この容積率の許可等の中で日影について緩和をするということはできないというのが現行のルールだというふうに思います。
一方で、最近、東京の都心区なんかでも開発の促進エリア以外のところは高さの制限を都市計画で掛けるようなケースが出てまいっておりますけれども、こういうものにつきましては、これは区の判断でどういうふうに決まりの中で書くかでございますけれども、総合設計などについては、高さを緩和できる場合、というふうに定める場合と緩和できないように定める場合、これはいろいろ公共団体でそれぞれ現場の事情でやられておりまして、どういうやり方がいいのかということを国で一律にお示しはできませんけれども、基本的な考え方については公共団体と基本的に意思疎通を図りながらやってまいりたいと思います。
○田中茂君
規制緩和に関してはなるべく不公平感が生じないように徹底していただきたいと思っております。
時間が来ましたので、私の質問は終わりにします。