焼き鳥が嫌いな日本人は少ないでしょう。焼き鳥は、寿司やうなぎと同じように日本を代表する食べものであると同時に、サラリーマン文化にとって欠かせないものといえます。突然こんな話をするのは、実は、私も焼き鳥には目がなく、若い頃から色々な店に通いましたし、今でも時々赤提灯に魅かれて行くことがあるからです。
かつてよく通った店のひとつに赤坂の「ろく助」がありました。先日、その「ろく助」のオヤジさんである高野正三さん夫妻、中井貴一さん、そして私の4人で食事をする機会を得ました。「ろく助」のオヤジさん夫妻とは、30年来のお付き合いです。
ところで、「ろく助」の焼き鳥の特徴は、塩味だけしか出さないところにありました。
何故、タレがなくて塩のみの焼き鳥なのか?
オヤジさんの経歴は異色で、若い頃はイタリアにも住んだことのあるファッション関係の写真家でした。今では全く想像もつきませんが、有名デパートの専属写真家を務めたこともあったそうです。そのオヤジさんが焼き鳥屋を始めるわけです。始めるのに当たって考えたのが、老舗の焼き鳥屋には、売りとなる代々秘伝のタレがあるが、今から始める自分には売りとなるものが何もない。だったら、塩を開発しようと考えて「ろく助の塩」を完成させ、塩のみの焼き鳥屋にしたというのです。 その「ろく助の塩」が評判に評判を呼び、今では大変な人気商品になっています。現在、オヤジさんは焼き鳥屋の経営をやめ、塩の販売のみをされており、「ろく助の塩」は伊勢丹や明治屋など、デパートや大手のス-パーで販売されています。旨み十分のおいしい塩だけに高価なのが難点ですが、肉との相性が抜群の逸品です。
さて、焼き鳥の話です。以前読んだ記事によると日本には2万軒をこす焼き鳥屋があるそうです。そして、日本人は焼き鳥屋や居酒屋、家庭などで1日に推定で450万本以上の焼き鳥を食べているとか。たとえてみますと、四国4県の全人口は約390万人ですから、四国中の人が1本食べても50万本以上残る勘定になります。まさに、焼き鳥は日本を代表する食べものであり、日本人は焼き鳥大好き民族なのです。